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特集「昭和のスター列伝」

2017年11月20日

特集「昭和のスター列伝2」吉永小百合①
あいつと私(1961年 青春映画)

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監督 中平康

出演 石原裕次郎/芦川いづみ/吉永小百合

シネマ365日 No.2305

あいつの次は私 

特集「昭和のスター列伝1」

どこにも謎のない映画ね。石坂洋次郎の小説そのものが、作者が全て絵解きしながら書いていてくれるから、読みやすいことこの上ない。だから映画もしぜん、そうなります。どこかの大学のどこかの学生たちが1960年代という時代を背景に青春する、いろんな像があり、それがまたうまく噛み合って、当時としては刺激的なセリフ、セレブな家庭、一方では中産階級の代表的庶民の家族、母親の過去、息子の父親、思春期の性の指南番としての年上の女性、アメリカから現れた、主人公の成功した父親、絵に描いたような結婚があるかと思えば、レイプ。どれもこれもうまくはまり込みすぎて、こしらえものの感が拭えないのだけど…綺麗すぎる模型みたいな感じが付きまとう。でもそれがつまらない映画だという意味にはならない。速射砲のようなセリフ、テンポよく切り替わるシーン、クライマックスは軽井沢の別荘、主人公の運転する自家用車はベンツ、別荘についたらあつらえたように嵐が到来、広い居間には太い薪がくべられ、赤々と燃える炎を見つめ、主人公のイタ・セクスアリスが始まる…▼裕次郎がスキー場で大怪我をし、半年間のブランク後の復帰第一作でした。大ヒットしたものだから「不死鳥・石原裕次郎」ともてはやされた。裕次郎はもちろん主人公の黒川三郎。芦川いづみが恋人の浅田けい子、その妹が吉永小百合です。母親に轟夕起子、アメリカ帰りの三郎の実父に滝沢修、現在の父に宮口精二、ほか中平監督お気に入りの中原早苗、吉行和子が安保反対デモの帰り、レイプされる女子大生に、酒井和歌子が芦川の妹役でデビューしています。渡辺美佐子が裕次郎のセックス指南役に。それがわかった後、芦川が「一度あなたを打たせてください」と言って思い切り渡辺をひっぱたく。純情女子にかかると災難ね。「小遣いは何に使うか」という教授の設問に、学生がそれぞれ「貯金」「生活費」とか答えている。裕次郎だけが「夜の女を買ったり」と答えて女子学生の吊るし上げを食らい、プールに突き落とされる。スカートに女物ブラウスの裕次郎が、冷やかした男子学生をブン殴り、プールにはめる。このシーンが大受けに受けたのを覚えています▼さて、そこで我らの吉永小百合は何をしていたか。何もしていません。芦川の妹で、ちょこちょことセリフがあったくらい。吉永は16歳だった。一年後「キューポラのある街」でブルーリボン主演女優賞を受賞。青春映画のみならず幅広い役で日活のドル箱となる…ことはまだここでは誰も知らないと。しかし本作当時の吉永の立ち位置を考えると興味深い。もちろん後出しジャンケンであることは承知で書くのだけど、裕次郎はアクションスターから、ムード・アクション、文芸路線にチェンジしつつある。芦川は7年後に結婚、きっぱり引退する。本作は宮口精二、轟夕起子、滝沢修、中原早苗、吉行和子ら、主役食いのベテランが脇を固めた。吉永小百合は何を考えたろう。彼女は女優として生きて行く決心を固めていた。当時の吉永から見れば眩しいような存在だった裕次郎や芦川いづみを見ながら、彼らが「退場するとき」だったろうか。本作で見せている、あの落ち着き払った顔を見ていると、そんなこともアリかと思えてくる。

 

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