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特集「昭和のスター列伝」

2017年11月23日

特集「昭和のスター列伝2」吉永小百合④
霧の子午線(1966年 社会派映画)

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監督 出目昌伸

出演 吉永小百合/岩下志麻/玉置浩二/林隆三/山本耕史

シネマ365日 No.2308

楽しい「二大女優」 

特集「昭和のスター列伝1」

二大女優夢の共演とジャケ写にあります。異議なし。考えてみたのですが、日本の大女優となると誰をあげられるだろう。思いつくままアトランダムに、山本富士子、岸惠子、岡田茉莉子、若尾文子くらいになると文化財的値打ちを感じる。佐久間良子、浅丘ルリ子、松坂慶子、草笛光子、江波杏子、藤純子、倍賞千恵子、松原智恵子、十朱幸代…いいですね。鬼籍に入ったが文句なしの存在となれば、高峰秀子、原節子、田中絹代、杉村春子、太地貴和子、母娘で山田五十鈴、嵯峨三智子…本作のおふたりも堂々たる貫禄です。大学時代「安保反対」のデモを叫んだ親友同士、鳥飼希代子(岩下志麻)は函館で新聞記者となり、沢田八重(吉永小百合)は難病クローン病を抱え、希代子を頼って函館に移住し、ちぎり絵の教室を開く▼希代子は文化部の後輩、高尾耕介(玉置浩二)という恋人がいるが、耕介は希代子から紹介された八重に一目惚れ、関係を持つ。希代子と八重はかつて学生運動の闘士、淡路新一郎(林隆三)を同時に愛し、三人で同棲し希代子は妊娠、淡路の子を産む。それが高校生になった光夫(山本耕史)だ。砕いていうと、耕介は希代子と八重を二股にかけ、光夫は父親は誰だとしつこく追及して母親をうるさがらせ、おまけに小さい頃から憧れだった八重に恋心を打ち明けるマセガキ。希代子がなんでシングルマザーになったかというと、希代子と八重に挟まれた新一郎が葛藤(そんないいものかと思うが)に耐え切れずある日、アパートをトンズラしたからだ。八重は余命わずかだ。それを知った希代子は、嫉妬と怒りに駆られたものの、かつて八重は自分の恋を譲ったのだと思い出し、友情に踏みとどまる。しかしけじめとしてストックホルムにいる淡路に会いに行く。ホテルに戻ると血の気の多い希代子を心配した八重が、日本から飛んで来ていた。喜んだ希代子は、淡路は結婚して娘がいる、妻と幸福に暮らしていると屈託なく教える。吹っ切れたふたりは「ダンスしようか」うれしそうにいう八重に誘われ踊るが、八重は倒れる。「八重ーッ。しっかりして」「希代子、私を抱きしめて」…結局そうだったンかい▼でもこの映画の見どころはそこじゃない。揃いもそろって男たちが見事というほど不甲斐ないこと。耕介は、希代子と八重のツーショットの写真を、希代子の部分だけハサミで切り離し、デスクに挟んでおいたのを見つけられチョンバレ、情事のあと八重の家でコロンをつけてそのまま希代子に会うというドジ。岩下志麻はピーン…どだい「極妻」の目はごまかせないのだ。山本耕史は丸ぽちゃのキューピー顔で母親にまといつく乳臭い坊や。サイコーは女二人がしんどくなって行方をくらまし「北の旅人」して尾羽うちからし、行倒れたところ地元女性に救われ結婚、衣食住にありついた元全学連闘士。女二人の友情云々より、ヘタレ男の活写に出目監督生き生き。ラストはフィヨルドに向かって希代子が叫ぶ「八重ーッ」。それでなくとも滑舌のいい岩下志麻が、腹の底から絶叫するのだから、森と湖の神秘に眠る神々は叩き起こされそう。しっかり楽しい「二大女優夢の共演」でありました。

 

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