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特集「ほんまか、アラン・ドロン!」

2017年12月5日

特集「ほんまか、アラン・ドロン!」⑤
恋するガリア(下)(1966年 恋愛映画)

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監督 ジョルジュ・ロートネル

出演 ミレーユ・ダルク

シネマ365日 No.2320

わたしに指図しないで 

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ガリア(ミレーユ・ダルク)は、実はそれほどカッコいいヒロインではありません。仕事にもお金にも恵まれ自由に暮らしているが、バカな男に惚れて墓穴を掘ってしまう。若気の至りといえばいえますが、男の裏表を知りぬいたニコル(フランソワーズ・プレヴォー)の忠告に耳も貸さず、ミイラとりがミイラになるなんて、けっこうなアホやなあ。ニコルにしたらガリアは10歳年下。自分が通り過ぎてきたアブナイ橋を渡りかけている。気性がさっぱりしてアタマもいい、仕事もできるし、将来ひとかどの女にガリアはなるだろう、それなのに女より金が大事な、恋人を出世に利用するような男のために人生を棒に振るなんて…ニコルは姉のように親身になって心配するのです▼男というのがニコルの夫グレッグです。ヴァンドーム広場に店を持つ宝石商、つまり一流のお墨付きを持つ店のオーナーです。夫の愛がなくなったとニコルはいうが「その度に身投げしていたらセーヌ川は死体だらけ」とガリアは覚めている。野心家の切れ者で、欲しいものは何でも手に入れるというグレッグに興味を持ったガリアは彼に近づく。グレッグの金に糸目をつけないプレーボーイぶりや、エゴイストぶりが、ガリアには魅力的に思えた。深みにはまっていくのがニコルにはわかる。旅行に誘われたガリアにニコルはいう。「彼の行く先を教えてあげるわ。遊びならフォンテンブロー、好きならドンヴィル、夢中ならアムステルダム、本気ならベニス」着いたのはベニスだった。ガリアはグレッグの程よさに心地よく溺れていく。今やニコルが何をいおうと馬耳東風である▼グレッグの頭が上がらないほどの得意先がウィスパーだ。彼の催すパーティの正体はフリーセックスの場で、ガリアは早々に引き返したが、ウィスパーがガリアを気にいったとみたグレッグは、アメリカ出張にガリアを口説き、ニューヨークでウィスパーが待っていると打ち明ける。いつの間にか人身御供である。そのうち捜索願を出していた彼の妻、つまりニコルの溺死体が上がったと警察から知らせがあった。内心ガリアは驚くが、グレッグは遺体の確認に行き、損傷のひどい死体を妻だと証言した。グレッグの目当ては「わたしの遺産なの」とニコルはガリアにいう。ニコルは資産家で子供はおらず、もし死んだら相続人はグレッグだ。「だから夫は離婚に応じなかった、でもこれで、どこでわたしが死んでも身元不明人ね」。そんなとき、グレッグとニコルが公園で会っているのをガリアは目撃しショックを受ける。すべて二人の馴れ合いだとしたら、もう関わりたくない、別れを告げるつもりでグレッグに電話を入れたら出たのはニコルだった。「彼との暮らしは地獄よ。あなたを守りたいの」ニコルの声は途絶えた。床には射殺されたグレッグが横たわっている。ニコルの通報で警察が来た。すべて終わりだ。ガリアは故郷に帰り、冬のエトルタの海岸に打ち寄せる、荒々しい波を見ている▼ニコルにしてもよくわからない。遺産を狙われるほどたくさんの資産があって、夫が愛してくれないからと、死にたくなるものでしょうか。くたびれた中年男にしがみついていなくてもいいでしょうに。60年代、こういう女性像がまだ幅を利かしていたのね。ガリアが「わたしに指図しないで。命令しないで」と怒るセリフが何度か劇中使われますが、この翌年「俺たちに明日はない」が公開。時代はビッチに移りつつありました。ガリアのセリフはその前触れだったかも(笑)。そうそう、ベニスに到着してゴンドラを降りるときバッハのチェンバロ協奏曲第5番2楽章が、ラスト、エトルタの海辺をひとり歩くヒロインに重ね、この曲をクリスチャンヌ・ルグランがスキャットしています、ミシェル・ルグランの実姉です。曲の使い方のセンス、よかったですね。

 

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