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特集「ダンディズム-dandyism-」

2017年12月20日

特集「ダンディズム5」②ドニー・イェン
イップ・マン 継承(2017年 事実に基づく映画)

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監督 ウィルソン・イップ

出演 ドニー・イェン/リン・ホン/マイク・タイソン

シネマ365日 No.2335

そばにいる人 

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ブルース・リーの師匠として有名なイップ・マンをドニー・イェンが演じます。筋書きとか伝承とか、武術家同士の闘技とか、いろんな要素はありますが、とにかくイップ・マンが、そしてのちにブルース・リーが継承することになる詠春拳の技とそのアクションが美しい。詠春拳の創始者は尼僧といわれ、護身術のために編み出したそうです。相手を倒すことよりも身を護ることを優先した武術です。手技に特徴があり、香港映画やハリウッドのアクションに取り入れられるようになりました。派手に空中を飛んだり跳ねたりは基本的にしない。ブルース・リーの飛鳥のような跳躍は、彼が独自に改良を加えたものです。詠春拳は、だから接近戦のためのものと考えていいと思います▼代表的なシーンは、イップ・マンが妻と病院の帰り、エレベーターでムエタイの武人に攻撃を受ける。狭いエレベーターの中で、拳が鼻の先をかすめ、指先が両眼を突く寸前にかわす。妻ウィンシン(リン・ホン)はガンの告知を受け余命半年とわかりました。イップ・マンは全てに優先させて妻と二人だけの時間を過ごします。その矢先の襲撃である。妻をかばいながらイップ・マンは敵の攻撃を防ぐ。エレベーターが止まって扉が開いた途端、イップ・マンは敵を突き飛ばしエレベーターから降り、扉を閉める。お互いに技を繰り出しながら階下へ。エレベーターが到着する前に相手を撃退したイップ・マンが妻を迎える。とにかく静かな人です。イップ・マンの息子が通う小学校の土地を、アメリカ人の不動産業者フランク(マイク・タイソン)が狙う。手下は学校に通う子供たちを誘拐して契約書にサインさせようとする。子供たちの中にイップ・マンの息子もいました。イップ・マンはフランクに勝負を申し込み、3分間フランクの攻撃に耐えて立っていれば地上げから手を引くという条件を引き出します。さすがのイップ・マンもフランクの最速パンチに苦戦、それでも3分間を戦い抜きます。タイソンが負けるシーンは嫌だと言ったとかで、勝負なし引き分け、となったそうです▼もう一つの勝負は詠春拳の正統性を主張する武術家チョン・ティンチと一対一の決戦です。妻は夫が残り少ない自分との時間をつくるため、武人としてのチョンの挑戦を受けないでいることを知っている。妻は聞きます。「もし私が病気でなかったら、彼の申し込みを受けた?」イップ・マンはやや沈黙。「うん」と答えます。「それでこそ私のイップ・マン。あなたに黙って対戦を申し込んだわ」。二人の達人のアクションは、カンフーの粋とも言える美しいシーンです。チョンに扮したマックス・チャンも見事でした。野生的な風貌、ヒョウのような身ごなし、武器は棒、刀、そして素手。最後の一撃を寸止めしてイップ・マンは勝利し、チョンは潔くイップ・マンの継承を認めます。妻が楽しみにしていたダンス・パーティをすっぽかし、怒らせたことのあるイップ・マンはブルース・リーにダンスを習い、妻とダンスの時間を作ります。イップ・マンにしたらダンスもカンフーも体の動きは一つなのかもしれません。ブルース・リーもダンスの名手で、香港時代ダンスの大会で入賞しています。家族愛、夫婦愛、武術愛の映画です。妻が道場に来ました。夫しかいません。腰を下ろした妻が頼みます。「あなたの木人椿の音をしばらく聞いていない。聞かせて」。木人椿とは手技・足技を組み合わせる練習棒です。イップ・マンの動きに応じてタッ、タッ、タッとリズミカルな乾いた音が木から生じる。妻が愛おしげに聞き入る。見入る。監督はこのシーンの撮影で泣いたそうです。イップ・マンはこう言っていました「いちばん大切なのはそばにいる人だ」

 

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