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特集「ダンディズム-dandyism-」

2017年12月22日

特集「ダンディズム5」④マイケル・ケイン
ジーサンズ はじめての強盗(2017年 コメディ映画)

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監督 ザック・ブラフ

出演 マイケル・ケイン/モーガン・フリーマン/アラン・アーキン/アン・マーグレット

シネマ365日 No.2337

グラス一杯の幸せ 

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「40年間、金を預けてきたのに、血も涙もない銀行」はジョー(マイケル・ケイン)の家を差し押さえすると通告してきた。長年働いてきた会社は買収され、従業員の年金は再編費用に回され、一文ももらえない。折しもジョーは銀行強盗の現場に遭遇し、あっという間に160万ドル奪って行方をくらました強盗一味に(こういう手があった!)目からウロコだ。同じ会社で働いてきた親友のウィリー(モーガン・フリーマン)とアル(アラン・ラーキン)も失職した。二人はルームメイトだ。テレビで恋愛ドラマをやっていた。アル「まったく歩く性病だな」ウィリー「ウダウダいうな」そこへジョーが来た。赤い封筒を見せ「債務不履行通知だ。クソ銀行め」。ウィリーは病院で医師にいわれた。「腎移植が必要だ。一刻を争う」。アルはエズラという娘にサックスの手ほどきをしている。「毎週下手になるね。まるで奇跡だ」。エズラの祖母アニーがアン・マーグレットだ。久しぶり。ほっそりして綺麗だった▼年金が入ってこない三人は金欠だ。ビュッフェに行く。ヒモみたいなパサパサのパスタにコーン。「大戦前のコーンだ」とアル。「コーンだ? 謎の物体だよ」とウィル。黙々と食べながらジョーが「銀行を襲おうかな。家を奪われる。差し押さえだよ。猶予は30日」。口々に「銀行がこの国を滅ぼしている」「そんな銀行がのさばっている」「三人で襲えばいい老後が送れる」「捕まっても寝床と三食保証付き、マシな医療も受けられる」「この20年、ただ死ぬのを待っていただろ。生きがいもなく」「強盗が生きがいか」「金が入る」「捕まらんよ。若造(のギャング)も逃げた」「若いから身が軽いのさ」「われわれには経験と知恵がある」「関節炎、痛風、帯状疱疹もある」「失うものなどない」「俺は善人だ」「横取りされた年金の分だけ奪おう」「もっとたくさん手に入ったらどうする」「寄付さ」話はまとまり、大きなスーパーで予行演習することになった▼大騒ぎを引き起こし警察から大目玉。見事に失敗した。ゴロツキ、ギャング、ならず者、なんでもいい、蛇の道は蛇に通じるプロの手助けがいる。ジョーの元娘婿のツテをたどり、動物保護施設を運営する一方、盗みのプロでもある男を探し当てる。彼の指導のもとに筋トレ、銃の撃ち方などを特訓。アリバイ作りのためチャリティ・イベントに参加し、こっそり抜け出し銀行に向かった。作戦成功に見えたが、ウィリーが苦しみ出し、動けなくなる。目の前にいた女の子が「苦しそうだわ」とマスクをめくり上げ、顔を半分見られてしまう。ウィリーはでもやさしく女の子に礼をいい、なんとか立ち上がり三人は脱出。何度か逮捕直前まで追い込まれたものの、唯一の目撃者である、ウィリーの顔を見た少女が、面通しで「ここにはいない」と知らぬ顔をしてウィリーを助けたのだ。行きつけのカフェでジョーは動物保護施設の男から子犬を引き取っている。FBI捜査官がやってきて子犬のケージを覗く。犬がいるだけだったが、実は敷物の底には札束が…ジョーは新しい家に引っ越し、ウィリーはアルの腎臓を分けてもらい移植手術を受けた▼場面転換。ジョーが黒い服を着てスピーチしている「人生では運が良ければ親友に出会います。最後までそばにいて一緒に年を取り、同じものを見て経験し、笑いも涙も分かち合う友。アルはそんな友でありかけがえのない男です。人のため危険を顧みずやさしい言葉や腎臓までくれたのです」カメラが移動し、そこには花嫁アニーと新郎アルの晴れ姿。今日は二人の結婚式だ。賑やかな席を抜け出たジョーとウィル。「あと20年生きることにした」とウィル。「アルの腎臓だぞ。せいぜい10年だ」「そうだな」そこへアルが来る。「結婚の感想はどうだ」「求婚した覚えもないのに、突然罠にかかったアライグマの気分だ。顔が疲れた。一生分の作り笑いをした。彼女は最高だよ。セクシーで体も合う。料理上手で素の俺を好いてくれる。俺でさえ嫌いな俺を。すべて順調で妙な気分だ。たぶんこれが幸せってやつだ」「乾杯しよう」「乾杯。グラス一杯の幸せに」。後日莫大な寄付が届いた高齢者介護施設があった…▼三人の、お金を取り返す目的が「好きなパイを食べたい」「家族といつでも会いたい」「自分の家で暮らしたい」というささやかな願い事だったこと、40年働いて得た年金を奪われたこと、などが強盗でもハッピーエンドだったという結果を無理のない形にしています。銀行は保険金がおりるでしょうしね。動物保護施設のオーナーが実は、ジョーが銀行で出会った強盗の一味でした。「これも持っていけよ」とジョーがヤケクソで差し出した財布を押し返し「いらんよ。腐った経済システムの犠牲者らしいな。老人を敬うのは社会の義務だ」と言って去ります。男は同じセリフをもう一度、子犬の受け渡しのときにジョーに言います。ジョーは、それで彼があのときの強盗だったとわかる。けしからん所業ではありますが、後味のいいハートフルな映画でした。グラス一杯の幸せに乾杯するくらい、誰に訪れてもいいじゃないですか。

 

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