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特集「ダンディズム-dandyism-」

2017年12月23日

特集「ダンディズム5」⑤ベンジャミン・ブラット
潜入者(2017年 事実に基づく映画)

監督 ブラッド・ファーマン

出演 ブライアン・クランストン/ダイアン・クルーガー/ベンジャミン・ブラット

シネマ365日 No.2338

結婚式に来た男 

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主人公の潜入捜査官ロバートにブライアン・クランストン(「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」)。彼の相棒エミールにジョン・レグザイモ(「3人のエンジェル」)、ロバートの偽婚約者キャシーにダイアン・クルーガー(「パパが遺した物語」)。そうそうたる配役です。でも今回の「ダンディズム」はこの人。ベンジャミン・ブラットです。主人公が潜入した麻薬組織の大幹部ロベルトです。ロバートの偽名はムセラ。墓石の物故者から取った名前だ。ムセラはマネーロンダリングを扱う大富豪になりすまし組織に潜入した。ムセラたち捜査班の目的は、コロンビア麻薬密売組織のトップ、エルコバルとその幹部、彼らのために資金を不正融資している銀行BCCI(国際商業信用銀行)だ▼キャシーは潜入捜査が初めてだ。オフィスでのダイアン・クルーガーは白いブラウスにタイトスカート、髪をまとめ、いかにも新入りという楚々とした出で立ちだが、ムセラの婚約者として裏社会の幹部たちに会ったときは、金髪は波打ち、センスのいいセレブの衣装、知的な会話をしながら手相を見るなど、場を引き立て、ロベルトの妻は「美しいフィアンセね」すっかり打ち解け家族ぐるみの付き合いが始まる。ムセラの最大の危機が来た。アメリカの上院議会が捜査の一環としてパナマの銀行口座を凍結させたため10億円が動かせなくなった、る。ロベルトはなんとかしてくれとムセラに頼んだ。できない時は死を意味する。ムセラはBBCIに10億円の入金があった日付を改ざんし、凍結の影響を受けないようにした。これによって組織全員の信頼を受けることになります▼さらにムセラはコカイン密輸のガサ入れの情報をロベルトの妻、グロリアに流し、ロベルトを逃がす。ムセラに対する信頼は絶対となった。それにしても因果な仕事である。潜入捜査の目的は命と引き換えに得た信頼と友情を裏切ることだ。ムセラはキャシーとの結婚式に組織のほとんどの幹部を招待した。それによって一網打尽にしようという計画だった。そこへ逃亡の身のロベルトが姿を現わしたのだ。危険極まりない出席にムセラは驚くが「家族や友人のいない世界に生きていても仕方ない」と彼はいい、ムセラの偽りの門出に惜しみない祝意を捧げる。キャシーとグロリアもまた友情を深めていた。式当日を前に、キャシーは「仲良くなりすぎたようね」とつぶやき、涙ぐむ。式場に警官隊が突入し全員逮捕。拘束されないでいるムセラとキャシーを見て、ロベルトは全てを察しグロリアは吐き捨てる。「恥知らず!」▼仕事は終わった。婚約者同士は元の仕事仲間に戻った。もし正体がばれれば本人はもとより家族もなぶり殺しにされた。アドレナリンを注射し気絶しないようにする。瞼を切り開き、目を閉じられないようにして、チーズカッターで子供らの首を切り裂く。女房の乳首を切り落とし、最後に本人の首を切り、役所の同僚に送りつける。ムセラ、いやロバートとキャシーは思いを込めてハグする。大仕事をやり終えた爽快感はない。颯爽として意気軒昂なのは、やり手の女性上司、手柄を一人占めしたボニーだ。「じゃ」言葉少なく、ロバートとキャシーは離れる。「…」背を向けたまま(バイバイ)無言で手を振るキャシーに笑顔はない。彼女は金融市場の調査業務に戻った。ダイアン・クルーガーはキャシーを「80年代、男の世界だった潜入捜査で、2年間刺激的な仕事をした女性」と語っている。