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特集「アニマルフェスティバル」

2018年1月6日

特集「それいけアニマルフェスティヴァル5」⑥
〜あけましておめでとうございます〜
ジュラシック・パーク(1993年 ファンタジー映画)

監督 スティーヴン・スティルバーグ
出演 サム・ニール/ローラ・ダーン/ジェフ・ゴールドブラム/リチャード・アッテンボロー

シネマ365日 No.2352

栄光の恐竜 

それいけアニマル5-7

スクリーンに吸い込まれるような恐竜の登場シーンがある。ひとつはジュラシック・パーク視察団の一行が島に到着し、なだらかな丘陵地をジープでいくとき、古生物学者のアラン(サム・ニール)が、古植物学者のエリーを小突き、さししめした方向に長い首、太く長い尾、巨大な胴体、小さな頭、雄大なブラキオサウルスが悠々と首をゆらゆらさせている。遠景まで何もない視野に恐竜だけが入る。スピルバーグ流千両役者の登場のさせ方だ。「ジョーズ」でもそうだった。サメが襲撃してくるパニック・シーンは、それまでなかなか姿を現さなかった主役がついに舞台に躍り出た、そんな衝撃を与えた。本作でも恐竜が出てくるまで、モタモタと時間を食い、昔の映画は「やっぱりタルいな〜」と思いかける寸前、180度、壮大に開けた視野に恐竜をはめ込む。「おお、恐竜が生きている」そう感動するのはアランやエリーだけではない。私たちだって同じ思いだった▼クリストファー・ロイドの「生物45億年の物語」によれば、地球上の生物の大量絶滅は4度あり、5度目の巨大隕石の衝突で恐竜は絶滅する。最初の絶滅はゴンドワナ大陸が南極に移動して氷河期が訪れたとき。海水面が低下し最初の絶滅を招いた。それから約1億年後の二度目の絶滅期を生き延びた生物の中から、水中にも地上にも、小型や中型の恐竜が発生した。3度目の大量絶滅はベルム紀だった。海洋生物の96%、陸上生物の76%が死滅する。地球の温暖化に伴い海底からメタンが発生し、大気に反応して酸素濃度が12%まで低下、種の大量絶滅を招いたのが原因とある。何度かの絶滅期を生き延びた恐竜の祖先たちはジュラ紀・白亜紀に全盛を迎え、約2億年にわたって地上に君臨した…ユカタン半島で発見されたクレーターは直径150キロ。K/T境界(白亜紀と大三紀との時代の境界)での出来事とされる。衝突により海では津波が、陸では森林火災が起こった。多くのススや灰が大気中に舞い上がり、衝突で砕け散ったチリが成層圏まで達し、太陽光を遮った。何年も冬のような暗い季節が続き、光合成する植物は枯れ、植物を食べる生物も死に絶えた▼悲劇だ。恐竜だけが絶滅したのではなく、現に哺乳類は生き延びたのだが、まるで宇宙に吸い込まれたかのように。スパッと地上から姿を消してしまった「恐竜栄光の時代」を思うと、それが「滅びる」ことなのだという悲劇性はいや増す。劇中、こんなシーンがある。ラプトルに追い詰められたサムと子供たち。ラプトルは殺し屋と呼ばれる凶悪で頭のいい恐竜だ。二匹のラプトルが人間を双方から挟み撃ち。そこへグワーン、ティラノサウルスが踏み込んでくる。ドン柄の大きい割に敏捷だから、体が建物に触れるやガラガラバリーン、ガッシャーン! ラプトルを見つけるや電光石火パクッ。一匹を牙の間でむしゃむしゃ「逃がさないわよ!」(ここの恐竜はみなメス)。むんずともう一匹を捕まえるのだ。恐竜のいないシーンは退屈だった。胚を盗んで逃走する悪党が、途中嵐で道を見失い、ディロフィサウルス(唾吐き恐竜=猛毒性のツバを吐き、相手が毒で弱ってくるのを待って仕留める)に、ドバッと黒い液体をかけられても同情しなかった。ツアー車が墜落寸前で崖の枝に引っかかり、サムが子供を救出するときもハラハラしなかった。でもティラノサウルスが飛び込んできて、あっという間にラプトルにかぶりついたときは「アッハッハ」殺し屋め、ザマ見ろ!▼ジェフ・ゴールドブラムが数学者マルコム博士になっています。複雑系=カオス理論の専門家。ジュラシック・パークは自然界のルールに反し、神の真似事をするシステムは必ず破綻すると予言し、その通りになった。ジュラシック・パーク、ひいては人間のエゴイズムを弾劾しています。ゴールドブラムはデヴィッド・クローネンバーグの怪奇SF「フライ」でハエ男になった俳優です。特異な容貌で印象深い人です。彼の意見に賛成。恐竜は人間のおもちゃになど、なってはいけないのだ。むなしくヘリで引き上げた人間たち。大きな犠牲を払い、二度と戻ってくるべきではない…はずなのに、今夏(2018)公開予定の最新作まで、四半世紀にわたってシリーズ化されているのだ。出演者がどうの、CGがこうの、いう人はいっぱいいるかもしれないが、恐竜ファンの腹のなかは絶対にこうだ。「恐竜(特にティラノサウルス)を殺してみろ、ただではおかん、二度と見てやらん」