女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「新春ベストコレクション」

2018年1月15日

特集「新春ベストコレクション」⑧
ラスト・フェイス(2016年 日本未公開)

Pocket
LINEで送る

監督 ショーン・ペン

出演 シャーリーズ・セロン/バビエル・バルデム/アデル・エグザルコブロス

シネマ365日 No.2361

130分しんどかった

新春ベストコレクション

アフリカ内戦の現実を描いた重いテーマだし、主人公二人が苦しんでいるのはわかるのだけど、どうも焦点がぼけているのよね。出だしはこうです「2003年に終結したリベリア内戦でも、それから10年たった南スーダンの紛争も、少年兵が残虐行為に関与、世界が痛ましい現実にやっと気づき始めた。その陰で一つの叶わぬ愛が消えていった。ある男と女による一つの愛。2014年南アフリカ共和国ケープタウン、世界の医師団資金調達イベントが行われていた」。男は医師のミゲル(ハビエル・バルデム)、女は医師団のコーディネーターであり医師であるレン(シャーリーズ・セロン)。貧困国に医療援助金を提供する団体に属するレンは、過酷な内戦の現場で救援活動をする医師ミゲルに出会う▼時々思うのですけど、どうしても恋愛させないと映画は成り立たないのでしょうか。ハビエル・バルデムとシャーリーズ・セロンを見ていると、あんまり熱のあるラブシーンでもなかったなあ。ショーン・ペン監督の嫉妬かしら。筋書きがまた、時系列を含め、あっちこっちに飛ぶのだ。ケープタウンのイベント会場でであったミゲルとレンは、別れて10年たっていて、「今頃現れてどういうつもりよ」とレンは責めている。でも映画の後半のセリフでは、現場を去ったのはレンの方で、「何度も戻ろうと思ったができなかった。辛かった」。残虐行為や極度の疲労とストレスで神経がおかしくなりそうな毎日だった、もう耐えられないとレンは限界だった。おまけにレンの従姉妹のエレン(アデル・エグザルコブロス)は、ミゲルと関係があり「アルコールやドラッグと同じ依存症であり、ミゲルの場合は女なのよ」とバラしたものだからレンはびっくり。エレンはなおかつレンに「あなたを愛していた」といい、自分はエイズである、二人とも検査したほうがいいと言って医療団から去る。どれか一つのテーマに絞ってくれないかしら。アデルは「アデル、ブルーは熱い色」のアデルです。しばらくスクリーンで見なかったけど、幼さが消えて、それなりの顔になっていました▼で、再会した二人はよりを戻し「また始まるのね」と、レンはあんまり嬉しそうでなくいう。どういう恋人たちなのだろう。ミゲルは「俺が別れた本当の理由を、話を聞いてくれ」というから何があるのだろうと思うでしょ、でもこれといった理由もなかったと思うのよ。「君は資金集めをするだけの人生か、そんなの君らしくない」とレンの現在を批判し「それが僕のせいだとしても自分を見失うな」。よくわからない。ミゲルは戦場へ戻る途中、飛行機が墜落して死にます。お気の毒に。なんとなくロマンティックな雰囲気はあったけど、突き詰めていくとぼやけている。これで130分よくもったのは、内戦のエピソードが苛烈だったからよ。窃盗団の女ボスが現れ、避難中のミゲルやレンの乗ったジープを襲う。黒人の家族も一緒に乗っていた。女ボスは意地悪で小学生くらいの息子に父親を殴れという。父親は地べたに引きすえられている。「いいから、お父さんを殴るんだ」と父親。息子は小さな拳で殴るが女ボスはせせらわらい「もっと、もっと」とけしかける。息子は思い切り殴る。「よし」その次は銃を与え、「父親を撃て」。銃口を父親の頭に当てる。「撃ちなさい」と父。息子はどうしたか。泣きながら自分の頭を撃ち抜くのだ。こういう暴力的なシーンの迫力に、「男と女の叶わぬ愛」は押しつぶされていたとしかいいようがない。

 

Pocket
LINEで送る