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特集「新春ベストコレクション」

2018年1月19日

特集「新春ベストコレクション」⑫
スポットライト世紀のスクープ(上)(2016年 事実に基づく映画)

極秘取材班動く

監督 トム・マッカーシー

出演 マーク・ラファロ/マイケル・キートン/レイチェル・マクアダムス/スタンリー・トゥッチ

シネマ365日 No.2365
新春ベストコレクション

1976年ボストン警察署。母親が泣いている。粗末な衣服を着て、贅沢はできそうにない所得に見える。子供が神父にいたずらされたという。子供の年は小学校に上がるか上がらないかだろう。担当官は事情を聞き、教会は神父を異動し、二度と同じ事件を起こさせないと約束する。2001年、地元紙のボストン・グローブにバロン新局長が着任した。ほとんどが地元出身の記者の中で彼はマイアミからの異動だった。ボストン・グローブ紙には「スポットライト」という特ダネ枠がある。政治家の汚職問題を暴露し、公共政策に影響を与える事件など、過去の重要案件を掘り起こすチームだ。4人からなり取材は極秘裏に進められる。期間が約2か月。ネタを記事にしたら1年間掲載する▼バロン局長は「インターネットが新聞業界に食い込んでいる。我々はグローブをもっと読みたい新聞にしなければならない」。一人が言った「努力しています」「わかっている。だがもっと努力できる」続けて「ボストンの神父が80人の子供たちに性的虐待をした事件が、半年で2本の記事か。もっと掘り下げるべきだ」「裁判所が資料を封印しているのです」「封印解除の申し立てをする」「教会を敵に回すことに。定期読者の53%はカトリック信者です」。局長は取材を命じる。虐待の被害者弁護士はガラベティアン(スタンリー・トゥッチ)だ。フィル・サヴィアは被害者団体の代表だ。「神父は誰でもレイプする。11歳の僕も。最初は卑猥な冗談、次はポルノ写真を見せ、どんどん深入りし、フェラを命令され、子供は従ってしまう。神父は偉い人で神と同じだと物心ついてから刷り込まれてきたのだ。黒幕はヴァチカンだ。国中で起こっている神父の虐待を、ヴァチカン以外のどこが隠せる?」記者が言った「資料を見せてくれ」「資料確認なら5年前、全ての資料を新聞社に送った。でも何もしなかった」彼は段ボールを叩いて怒りを露わにした▼療養所で30年にわたり治療にあたってきた療養士サイプの情報。「彼らが狙う子は、貧困、父親不在、家庭崩壊の家の子だ。ゲーカンは羞恥心が強く寡黙な子を選んだ。奴らは捕食者なのだ。教会は訴えられた事件を示談にする。虐待神父は転属が早い。揉み消すためによその土地にやるからだ。理由は休暇、休職、緊急事態。プロテスタントではなく、なぜカトリックの神父なのか。この危機の原因は聖職者の独身制にある。禁欲を守る神父は50%、教会の秘密主義が小児性愛者を守る結果になった」。チームが割り出した虐待神父はボストンで13人。サイプは「少なすぎる。統計上虐待者は6%。神父全体に換算すると90人になる」。チームは色めき立った。神父のリストから「休暇、休職、出張」などの理由で異動した人数は87人。ほぼ90人に近かった。被害者の一人ひとりに当たっていく。やがて実態が浮き彫りになってきた。虐待は身体的なダメージだけでなく、精神への虐待でもあった。被害者はほとんどが低所得者向けの公共団地に住んでいて、頼れる人も場所もなく、唯一教会だけが拠り所だった。信仰への信頼を裏切られた彼らは飲酒やドラッグにはまり、悪事を働き、トラブルを起こし、学校にいられなくなり、やがて社会的に疎外されていく。自殺した子もドラッグのオーバードースで死んだ子もいた。