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特集「新春ベストコレクション」

2018年1月21日

特集「新春ベストコレクション」⑭
ワンダーウーマン(2017年 アクション映画)

監督 パティ・ジェンキンス

出演 ガル・ガドット/クリス・パイン/デヴィッド・ジューリス/ロビン・ライト/エレナ・アナヤ

シネマ365日 No.2367

祝大ヒット

新春ベストコレクション

興収ブッちぎりの大ヒット映画。パティ・ジェンキンス監督とガル・ガドットの魅力がスクリーンで炸裂する。いいわね…でもな、正直いうと物足りなかった。途中だれているし、アクションの見せ場も少ない。中盤で無人地帯をいくシーン、ダイアナ(ガル・ガドット)が戦士のコスチュームと剣と盾で機銃放射を物ともせず突進する。胸のすく場面なのですが、荒涼たる戦陣のド真ん中を、水着みたいなコスチュームで走るヒロインって、DCコミックだからいい? そうね。確かにこういう映画にあれこれケチつけるの、よくないのよね。ジェンキンス監督が女性アクション映画の最高のヒットを飛ばしたことを喜ぼう。そしてガル・ガドットが(本作に続く他の役の選択が難しくなると思うけど)、負けずにいい女優になってくれることを祈ろう▼神話が現代(物語の時代は第一次世界大戦)に接続しているのも「あ、そう〜お」としか言えないのは、私のリテラシーの欠如だろうし。ストーリーが単調だといったところで、どだい、単調さを楽しむ映画なのよ。ダイアナとアレス(デヴィッド・ジューリス)が兄妹ということは、ゼウスは家族同士で喧嘩させたわけね。こんなやつが神の座のトップに君臨しているのだから世界はむちゃくちゃになるはずだわ。ダイアナの理想主義が戦争の現実で打ち砕かれ、人間とは醜く、権力のために過ちを平気で犯し、利己主義で人の自由を踏みにじり、命を奪うものだと知る。アレスというのはゼウスの息子だけど、可愛がられなかったことの腹いせに、世界中を不幸に陥れ、ゼウスの作った人間がいかに愚かかを思い知らせるために、紛争を焚きつけ、地上の人間を裏切りと破滅に導く。神話でなくともあちこちの国にいそうな存在です。ダイアナは「誰もアレスから世界を守れないのなら私が守る。戦えぬ人々のために私は戦う」と誓う▼彼女は女性だけが住む島セミッシラのプリンセス。女王の娘であり、叔母のアンティオペ将軍(ロビン・ライト)は最強の戦士だ。叔母はダイアナの非凡な格闘能力を見抜き、幼女から訓練を施そうとするが母女王は「戦争は起こらない」従って娘を戦士にするのには否定的。叔母は「サソリに毒があるように、狼に牙があるように、人間には悪がある。アレスはいずれ正体を現す」。母女王も説得され「ならば娘を世界一の戦士に」とゲタを預ける。序盤の訓練シーンと中盤の無人地帯突破、終盤のアレスとの決戦がアクションらしいシーンです。途中、島に不時着した飛行士スティーブ(クリス・パイン)によって外の世界を知ったダイアナは、ドイツを後ろで操っているのはアレスだ、あいつの息の根を止めねば平和はこない、硬い決意のもと、スティーブと一緒に島を出る。男性を見たことがないから、裸のスティーブを見て「それは何?」とか、「セックスなら知っている。『肉体的快楽論』12巻を全部読んだ。数百の言語を話せる」。女王の娘であり次期後継者ですから英才教育バッチシなのです▼ロンドンに来たダイアナは、黒いロングコートを着て街を歩くが、コートの下は水着型戦闘服である。フツーの格好をさせねばと、スティーブは婦人服店に連れて行き、地味なスーツを着せる。エピソードとしてはいいのかもしれないけど、我々は、いや私はガル・ガドットの鳴り物入りのアクションが見たい。いくつものエピソードがありすぎて寝てしまいました。新型毒ガスを開発するマッドサイエンティスト、マル博士にエレナ・アナヤ。顔の半分に火傷があり、隠すために肌色の陶器のマスクをつけています。ダイアナに匹敵する悪役が弱いわね。アレスも終盤に正体がわかるまで本性を表さないのだもの。マル博士もおとなしそうだわ。ポイズン・アイビー(「バットマン&ロビンMr.フリーズの逆襲」のユマ・サーマンのイカレ度のほうがはるかにマッドだったわ。例えば「アトミック・ブロンド」のシャーリーズ・セロンのアクションのあと、本作を見たら物足りない。セロンだってアクションの音入れや撮影の角度に助けられてはいるけど、自前の肉体の迫力が段違いだった。ガルだって美しい体よ。でもあれだけ暴れて損傷なし、というのはマンガすぎる。最後に。パティ・ジェンキンス監督は本作の大成功で、うるさいおじさんたちに文句いわせない力をつけたのだから、もう一度、いや何度でも「モンスター」級の映画を作ってほしいわ。