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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2018年2月4日

特集 LGBT―映画に見るゲイ235
彼らが本気で編むときは、(上)(2017年 ゲイ映画)

監督 荻上直子

出演 生田斗真/桐谷健太/田中美佐子

シネマ365日 No.2381

僕もオッパイがほしい

特集 LGBT―映画に見るゲイ

本作と「たかが世界の終わり」を続けて見て、くだくだ、ややこしいことを考えないうちに書いてしまおうと思いました。断然こっちに感動したわ。「たかが…」は好きなグザヴィエ・ドラン監督でギャスパー・ウリエルが主演という、どう考えても「こっち、こっち」と言いたくなる映画なのに、この度はわたし、荻上直子監督に一票です。ヒューマニズムを甘口にしない、妥協しない現実把握に拍手。生田斗真と桐谷健太のカップルも善戦。邦画では久しぶりに充実感のあるLGBT映画でした。トランスのリンコ(生田斗真)が男性自身を「ボンノー」と称して、せっせと毛糸で編み、108個になったら燃やして供養する、そして同棲しているパートナーのマキオ(桐谷健太)と結婚し、彼の姪であるトモを養子に迎え、一緒に暮らしたいと望んでいる。マキオも賛成だ。トモの母親ヒロミは娘を弟に預け、家に帰ってこない。それが初めてではない。トモは毎日コンビニのおにぎりを買い、家に一人いて、寂しく食べていた▼初めて叔父の家(団地)に行ったとき「トモちゃん、何が食べたい?」とリンコが訊いた。食卓はトモを歓迎するためリンコが腕をふるった。唐揚げを見てトモの目がキラリ。「私ね、生まれたときは男だったの。体の構造は全部持っているけど、戸籍はまだ男なの。手術してEカップよ。触ってみる? 私みたいな人がいること、知ってる?」。トモはためらいがちにリンコの胸を触る。「どう?」「ちょっと硬い。でも気持ちいい」。リンコの母フミコ(田中美佐子)がトモと一緒に食事した。「あの子の最初のオッパイは私が作ったの。リンコを傷つけるようなことしたら、承知しないよ」。この母親がいい。中学生のリンコが「お母さん、僕もオッパイがほしい」といった。「そうだね、リンコちゃん、女の子だもんね。いいのよ。何も悪くないのだから」そして毛糸で二つのオッパイを作ってやる。「とりあえずニセチチでいいか」。トモが学校で「お前の家は変態家族だ」といじめにあう。何でリンコさんと一緒にいるのとトモは叔父に訊く。「僕の一目惚れ。母さんの体を丁寧に、丁寧に拭いているリンコさんを見て、涙が出た(リンコは介護施設で働いている)。元男の人だとわかってとまどったけど、リンコさんみたいな心の人を好きになったら、男とか女とか、もうどうでもいいんだよ」。姉が子育てを放棄していることについては「親子でも人は人なんだ。気が合わないこともあるけど、嫌いってことではないんだ」。お互いを大切に寄り添って暮らすリンコと叔父のやさしさにトモの心は打ち解けてくる▼でも世間はそうはいかなかった。児童相談所から担当者が来て「好ましくない環境に子供を置いている」と調べに来るが、心底リンコになついているトモを見て帰る。リンコは編み物に余念がない。「スゲー悲しいこととか、辛いことがあると、こうして編み物をするの。コンチクショーとか思いながら。そうしたらいつの間にか心がスーと平らになる」トモはいくつもある色とりどりの毛糸の編み物は何かと訊く。「それは私のボンノー。下の手術をしたとき痛くてかゆくて辛かったの。なんでこんな辛いこと、しなくちゃいけないのだろう、私が間違ったことしたからか…間違ったのは神様よ。これは私の男根への供養にするの」「私もボンノーを作ってみたい」トモも編み物を始める。マキオも一緒になってボンノーを作ることにした。