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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2018年2月5日

特集 LGBT―映画に見るゲイ236
彼らが本気で編むときは、(下)(2017年 ゲイ映画)

監督 荻上直子

出演 生田斗真/桐谷健太/田中美佐子

シネマ365日 No.2382

母でも女でもないくせに

特集 LGBT―映画に見るゲイ

トモの同級生のカイは母親から「トモちゃんと遊んだり、家に行ってはいけない」と固く禁止された。「一緒にいた人をみたらわかるでしょ。異常よ。ああいう人とは一緒にいないほうがいいの」カイは上級生の男の子が好きだ。でも言い出せない。密かに書いたラブレターを母親が見つけ破いてしまった。カイは傷つき自殺を図る。リンコはトモが可愛くて仕方ない。夜胸を触りにくるトモを抱いて寝る。「トモのママが帰ってこなかったら、トモを養子にできないかな。戸籍を女に変えてマキオと結婚したら…結婚なんて考えてないよね。図々しいよね」マキオは「僕はあなたを受け入れます。全部。トモのこと、真剣に考えてみよう」。リンコは「さっさと供養を終わらせ、さっさと女になると決めた!」マキオもトモもモノも言わず編棒を動かす。やがて三人は海辺に行った。砂浜に「ボンノー」の卒塔婆を建て、燃やした。バス停のベンチで、バスの後部座席で、海辺で、横に並んでわき目も振らず編む三人の姿を、監督は美しい映像で撮っています▼別れの日はいきなりきた。トモの母が現れたのだ。「姉ちゃん、トモのこと、引き取りたいんだ。リンコさんと一緒にトモを育てていきたい」そうマキオが切り出すとヒロミはけたたましく嘲笑し「冗談でしょ。トモは私の子よ」「家を出たのは初めてじゃないだろ。無責任にもホドがある」「預かってもらっていただけよ。私は母である前に女よ。それも許されないの」「まず子供を守らなきゃ」そうリンコが言うと「あんたに何がわかるのよ。トモが生理になったら手当てを教えられる? 母でも女でもないくせに。あんたは母親には一生、なれないの」。トモがいきなり母親を叩く。叩き続けながら「リンコさんはラーメン、作ってくれた、一緒に寝てくれた。リボンを結んでくれた、お母さんはしてくれなかった、どうして今まで放っておいたのよ」トモは母親にしがみついて泣く。ヒロミは一人、施設の母の部屋を訪れる。母は眠っていた。その寝顔を眺めていた。トモが明日部屋を出て行く夜、リンコが何かを編んでいる。夜が白んできた。タクシーが来た。リンコはトモに綺麗なリボンをかけた包みを与える。帰宅すれば家は見違えるように整頓されていた。トモはリンコのくれた包みを開ける。可愛らしいオッパイが二つ。トモが見つめている▼トモが興味津々、リンコに質問するシーンがあります。「切り取ったチンコ、どうするの?」「リサイクルするの。中身を出して皮をひっくり返して作った穴に貼るの」「スッゲー!」。リンコは自分のセクシャリティを隠さずにトモに教え、トモは子供のカンで、リンコが人に理解されない苦しみをへてきたのだとわかります。無理解を強いる現実の中で、難しいけれど求めさえすれば生きようはある。そんなリンコやマキオのつつましく、しっかりした軸足がとてもいいです。