女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集 LGBTー映画にみるゲイ

2018年2月10日

特集 LGBT―映画に見るゲイ241
ビリティス(1977年 ゲイ映画)

監督 デイヴィッド・ハミルトン
出演 パティ・ダーバンウィル/モナ・クリステンセン/マチュー・カリエール

シネマ365日 No.2387

ひと夏の愛 

今やカルト的ゲイ映画と評価されるに至った、デイヴィッソ・ハミルトンの監督第一作。そういう「名作」を、こういう態度で見るのはマチガイかもしれないけど…とりあえずビリティス(パティ・ダーバンウィル)からいきます。寄宿学校の生徒なのだから中学生くらいでしょう。胸だってビリティスは「ペチャンコだから恥ずかしい」と恥じらう場面があるのだけど、充分豊かよ。逆に彼女が恋する人妻メリッサ(モナ・クリステンセン)は割り箸みたいに痩せて、骨が刺さりそうだったわ。瘦身の女性って、当時恋人関係にあったハミルトンのタイプなのね。ソフトフォーカスを駆使して、絵画的構造でスクリーンを創るから、ホント綺麗だわ。思春期の少女たちが素っ裸になって海に飛び込み、アンダーヘアも丸出しで、抱きつくわ、じゃれ合うわ、少女のエロチシズムというより、見たこともない動物が群がっている、ラブクラフトの怪奇小説を思い出しました▼パティ・ダーバンウィルはこのとき27歳でした。成熟女性が水色の制服と白い長いソックスでヒロインを演じるなんて、ブルセラか。美少女ビリティスに学校お抱えの記念写真屋ルカは惹かれる。学校は休暇に入った。外国からまだ帰らない父親の代わりに、ビリティスを預かってくれる父の知人、メリッサ(モナ・クリステンセン)が夫と共に迎えに来た。ビリティスはメリッサの美しさに呆然。メリッサは実の妹か娘のようにビリティスを可愛がります。でも夫のピエールはサド男で、夜はメリッサの「やめて、やめて」という苦痛の声が聞こえる。そうだ、この脚本「本当に若い娘」のカトリーヌ・プレイヤです。飛んでいるはずね。ピエールはモンテカルロに出張。3日3晩、家を留守にする。この家というのがメリッサの実家で12世紀の豪邸です。優雅な家具調度、歴代当主の肖像画が階段の壁面にずらり。海はすぐ近く、メリッサは、子猫みたいにじゃれついてくるビリティスのスカートをめくり、まだこんなもの穿いているのかと笑い「海に行くわ。着替えてらっしゃい」▼ビリティスはルカとデートし、あと一歩というところまで行くが泣きながら拒み、走って帰ってメリッサの膝にすがりつく。「男は嫌いよ」「そんなこと、言わないの」「あなたもでしょう。メリッサ。私を幸せにできるのはあなただけよ」。続くラブシーンですが、不幸な結婚で愛の闇の淵にいるメリッサが、静かにビリティスの情熱を受け入れる。ハミルトン監督は「アデル、ブルーは熱い色」みたいに激しくはさせていませんが、充分念入りで美しい仕上がりです。でもメリッサはビリティスに引導を渡す。「心地よかったし後悔もしていないけれど、一度きりよ。二度とやらない」「あなたはイヤでも私はやりたい」こういう強引なことが平気で言えるのだから若いっていいですね。「私のことが一番好きでも、男が必要なのね。あなたが男の人といるのを想像してみたけど、どんな人でも耐えられない。あなたの夫は最低よ。私が好きになれる男性となら、うまくいくかもしれない」ビリティスはメリッサの愛人候補を探しに行きます▼見つけた候補者の一人がニキアス(マチュー・カリエール)です。ビリティスはメリッサのためにパーティを開きニキアスを招待する。メリッサは二言、三言、ニキアスと言葉を交わし、「おいで」ビリティスを呼んで踊りながら耳元でささやく「残念だけど、ニキアスは私たちと全然ちがう」…彼はゲイなのです。結局ビリティスがメリッサに「私が愛する人よ」と橋渡ししたのはルカだった。キューピット役を終えてビリティスは自転車にわずかな荷物を乗せ寄宿舎に戻ります。自転車で、というところが子供らしいです。自転車はメリッサがルカとのデート用に買ってくれたもので、ビリティスは贈り物に喜んでメリッサに飛びつきキスする。「お礼のときは舌を入れるの?」冗談のようにメリッサは問いかけますが、一念発起、鏡に向かってキスの練習をする。「舌を入れたあと、どうするの」「今にわかるわ」ビリティスは引き下がらない「こんな感じ? これであっている?」少女がメリッサを押し倒している。積極的ですわ〜▼寄宿舎にはまだ誰も戻っていない。ビリディスは自室に一人、ベッドに腰掛け微笑を浮かべ、時々寂しそうに一夏の追憶に耽る。ハミルトンは回想シーンを叙情的に取りいれ、フランシス・レイの音楽が流れる。デイヴィッド・ハミルトンってロリコンには違いないけど、いいじゃない、こんなにきれいに撮れるなら。徹すれば道は極まる。ニキアスのマチュー・カリエールの代表作に「エゴン・シーレ/愛欲と陶酔の日々」があります。イかれたエゴンに適役だった人です。