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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2018年2月16日

特集 LGBT―映画に見るゲイ247
TOPLESSトップレス(2008年 恋愛映画)

監督 内田英治

出演 清水美那/奥田恵梨華/大政絢/坂本爽

シネマ365日 No.2393

夏子ってエライのだよ

ヒロイン夏子(清水美那)が速射砲みたいに連発する、ガールズトークの中にシアリアスな人生観が挟まっている。彼女はトモミ(奥田恵梨華)に失恋した。トモミの勤める図書館にいってよりを戻そうとするのだが、「わたしたち、もう別れたのよ」と素気無い返事。別れられるはずない、と夏子は踏ん張るが、「女同士でどうなるっていうのよ」と、トモミはトモミで辛い選択をしたわけ。それ以来夏子はテキトーな相手とベッドインしたりしている。それがオープニングのシーンで、かなりディープだが「やっぱりヤ〜メタ!」と、相手は夏子をベッドから突き落とす。笑っちゃう。夏子は同性愛者への差別と闘う、大学のサークルに入っているが、いつもはみ出している。集まりには遅れる、人の話に平気で割り込む。注意されたら「戦わなくちゃ、いけないわけ? だれと? 何と?」と訊いてくる▼彼女は自分が「女の子大好き女子」であることを隠さないが、無理やり人の考えを変えようともしていない。それぞれの選択があっていいのだと、整然とはいわないが、自然体でいたいと思っている。部屋に住まわしてくれているコージは密かに夏子が好きだが、夏子は男子に関心がない。そこへ母親を探して田舎から上京した、高校生のカナ(大政絢)が加わる。偶然出会った夏子がカナの事情を聞いて大いに同情し、一緒に母親を探してあげようといってコージの部屋に連れてきたのだ。母親探しにコージも巻き込まれる。その母という人は、好きな女性と十数年前駆け落ちして、東京にいるというのだ。母親が子供も家庭も捨てた原因が相手の女性にあるから、カナにとってゲイウーマンは不倶戴天の敵である。トモミが男と付き合っている。心かき乱された夏子は、コージをにわか恋人に仕立て、トモミの相手ケンタに会う。彼がいい青年であることでますます取り乱し、トモミに八つ当たりする▼カナの母親を探し当てた。ふたりで喫茶店をやっていた。カナは母親に名乗らず店を飛び出す。「お母さん、幸せそうだったじゃん。チョー羨ましーッ」と叫ぶ夏子。素直でよろしい。「カナは好きな子、いないの?」と夏子が訊く。「いません。興味もありません。夏子さんはなぜ女性が好きなのですか?」「なぜ日本人なのですかって訊かれて、どう答える?」「わかりません」「わたしもわからないよ。それくらいフツーのことなんだよ」「わたしはおかしいと思います。女が女を好きになるなんて。キライです。でも夏子さんは好きです」▼トモミがケンタと結婚する。「何いってンの、トモミ。愛してもいない人と」「でも尊敬はしてる。わたしは夏子みたいに強くないの。もう会わない。サヨナラ」大事な人はみな去っていく。夏子はコージと初体験。処女と童貞だから手続きがアレコレあった後、めでたく行為はすませたものの、コージは虚しさに泣く。コージは夏子と別れ、5年後会社の同僚と結婚し、子供がふたりいる。夏子は出版社に就職し、締め切りや原稿の催促で多忙な日を送る。ある日トモミを訪ねた。喜んで迎えたくれたトモミに、自分たちのことを小説に書こうと思うと打ち明ける。トモミは賛成し後押しする。3歳の娘がいた。辞去する夏子にトモミは「わたし、夏子とのこと、後悔していないからね」と笑顔で言う。どういうこと? 割とよくできている映画だと思うが、セリフが説明的なことにうんざりする。こういうこと、いちいち口に出さないわよ。また夏子がこれでもかと明るく手をふって別れる。コミック的ね▼夏子とカナのこんなシーンがある。「お母さん、幸せそうでよかったね」「子供棄てて飛び出して、不幸になってたら割に合わないです」「あんた、ひねくれてんね。わたしも普通に男と恋愛して、結婚して子供ができて、たまに学費の心配したりして、そういう女に生まれてきたらよかったと思うよ。でも、わたしもカナのお母さんも、女の人が好きなんだもの。気にしたって仕方ないじゃん」「夏子さん、幸せですか?」「ちょっと難しい質問だね」「お母さんは幸せですか」「そう思う」「わたしにも幸せが来ますか?」「くる。絶対来る」カナはお母さんではなく自分を探していたのだという夏子のありふれたコメントが続く。陳腐極まりないセリフだが、この子たちの、一生懸命な人生への姿勢を、きちんと伝えていることが、後味をよくしています。それに、監督は故意に日常的なさりげなさをまとわせているけど、夏子ってホントはエライのだよ。なかなかできる生き方じゃないって。