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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2018年2月17日

特集 LGBT―映画に見るゲイ248
カケラ(2010年 ゲイ映画)

監督 安藤モモ子

出演 満島ひかり/中村映里子/かたせ梨乃

シネマ365日 No.2394

困ることでも悩むことでもない

う〜ん、困るなあ、こういうプクプク、ブヨブヨしたマシュマロみたいな映画をナ〜、どう書けばいいのだろ。ガールズ・トークが面白いのですけどね。特に中村映里子扮するリコっていう子が。でもね、汚らしい映像で始まるシーンには参るのだ。親指が覗く穴のあいた靴下、男が口からキャベツの切れ端をはみださせて、焼きそばだか、なんだか、ほおばってムシャムシャ食べているところ。下卑た食べ方がドアップ。唇がムニョムニョ蠢いて、無精髭の男が咀嚼しています。自分の家にこんなやつがいたら叩き出すでしょうね。北川はる(満島ひかり)は早稲田の学生だ。同棲、でもないらしいが、男はしょっちゅう、部屋に来ているらしい。はるの扱われようがひどい。映る映像はトイレ、生理用品の取り替え、セックスにしても喜びとか楽しさとか皆無。ここまで男にザツな扱いされてぐずぐず引っ張られている女子学生を、まさか青春彷徨なんて言うつもり、ないのでしょうね▼一人住まいだから親元を離れているのだろうけど、親は高い授業料払っている。部屋の様子を見たらそう飛び抜けて裕福な家とも思えない。親にしたら一生懸命働いて大学にやらせているのよ。ちょっとばかり虚しくなる子ね。それともそう感じさせるのが監督の狙い? もう一人のヒロイン、リコはメディカル・アーティストだ。田中ブレイスで働いている。所長が津川雅彦だ。ブレイスとは「支柱」だけど、損傷した耳や指や乳房を補う本物そっくりの補強材とでもいえばいいのかな。リコはこの仕事が好きらしい。結婚式を明日に控えた花嫁のために、指輪がうまくはまる指を、徹夜で作ったりしている。リコが喫茶店で出会った女の子がはる。一人でテーブルに座ってカプチーノを飲んでいる。鼻の頭にクリームが付く定番があり、それを見たリコが話しかけ、席を移ってきて、鼻の頭のクリームを拭いてやる。馴れ馴れしすぎるけど、委細無頓着に映画は進行▼リコは女の子が好きで、二人はデートしたり、お互いの家を行き来したり、すっかり仲良くなり、半同棲の形になる。リコの家はクリーニング店だ。お父さんもお母さんもリコを可愛がっている。女子が好きでもとやかく言っているフシはない。で、あの薄汚い男が部屋にやってきて、リコがいるのに驚く。はるに「へえ〜、お前、レズだったのか。俺、レズを抱いていたのかよ、キモ」。リコが急所を蹴り上げ「帰れ。タマついてりゃ、えらいのかよ。もう少し、グローバルな現代社会に対応しろよ!」。ここ笑ったわ。はるはリコのようには同性を愛せない、少なくともためらいがある、リコはいつまでも煮え切らない態度に爆発する。居酒屋で大喧嘩だ。「はるは、男にとって扱いやすい女なのだよ。男知らなくて何が悪い? わたし、はるちゃんを友達だなんて一度も思ったことない。はるちゃんの特別な女になりたくて、でも、わかってもらえない。わたしだってはるちゃんを抱きたいんだよ。抱きしめていっぱいキスしたいんだよ」立ち上がって目いっぱい声を張り上げての告白である。はるは手も足も出なくて逃げ出す。無理ない。ここでもリコの蛮勇に笑った。びっくりさせられるけど、いい子だよね▼リコはゲイバーで、自分が乳房を担当した山城さん(かたせ梨乃)に出会う。「恋しているかも。でも男いるのよ」そう打ち明けると「報われないわね」。相手はかたせ梨乃であるから貫禄たっぷりである。リコは山城さんの家に行って、自分が補強した乳房に触らせてもらう。やわらかくて気持ちいい。ある日のリコとはるの会話だ。「はるちゃんはなにしたいの? 愛されたいのかな?」で、はるのお尻をモミモミし、「男は、こんなにやわらかくて気持ちいいものを触れるんだな」。どういうべきか、書くべきか、オタオタしますね。居酒屋の大喧嘩以来、ふたりは絶交状態だ。はるが帰ってこないだけで電話かけまくり、コンパの店に押しかけるリコもドッキリものだ。はるもリコがしんどくなったのだろう。リコは賢い子だから「家に戻るわ。はるちゃん、イライラしているみたいだし。わたしたち、ずっと一緒にいすぎたのかもしれないね」。リコのいうことは哲学的である。好きなものは少しずつ食べた方が幸せなのだよ、お月様が満月なのは1日だけ、でも欠けてる月も綺麗だよ、とか、考えさせるね〜。ふたりがよりを戻していないまま映画は終わります。どうなるか? 知らないわよ。ほっときゃぶつかりあいながら、離れたりくっついたりしながら、なるようになるわよ。青春とか同性愛とか、悩んだり困ったり、することじゃないのよ…と、まあこの映画を見ていたらそんな気になります。