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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2018年2月20日

特集 LGBT―映画に見るゲイ251
過激派オペラ(2016年 ゲイ映画)

監督 江本純子

出演 早織/中村有沙

シネマ365日 No.2397

みだらな女

元気のいい映画ね(笑)。劇団「毛布教」を立ち上げた演出家・重信ナオコ(早織)は、初公演「過激派オペラ」のオーディソンを開催。受けに来た岡高春(中村有沙)に一目惚れした。重信というのがだいたい女にだらしない女で、稽古中もキスシーンとなると、「そうじゃない、こうだよ、こう。もういい、わかった、私がやる」といいトコを横取りするヤツ。オープニングはのっけからフルヌードの女二人のラブシーンです。広いガレージみたいなところ。実はここが劇団の稽古場だ。その床を派手にゴロゴロ転がる。セクシーというより痛そうだわ〜。で、重信は春に猛アタック。春が真面目を絵に描いたような子で、女優になりたい一心に燃えている。重信がイチャイチャしていると「そういうことはラブホテルでやってくれませんか」ときっぱり。春のボーイフレンドが「こんなレズ劇で主演やって恥ずかしいを思わないのか」春はここでも断固として「お前より才能あるんだよ、この人のほうが」▼ここまで信頼され、重信はクラクラ。「好きです!」春に叫ぶ。「え?」と春。重信「お願いします、お願いします」「やらない、やらない。劇を一緒にするってセックスより素晴らしい関係だと思うのですけど」「セックスしたらもっと素晴らしいものが生まれると思うのです。お願いします。お願いします」拝み倒す。江本監督、コメディタッチでテキパキ畳み込んでいきます。気合が入っています。学生時代の仲間やオーディションで加わった女優8人、パンティとブラだけで街路に飛び出しホースで水をかけあうとか、よくわからんシーンもあるのだけど、春は「つきあいます」重信の望みに応じる。重信大感激。「ありがとうございます。ありがとうございます」春をおしいただく。重信の女癖の悪さを知っている春は「浮気しないでよ」と釘をさす。旗揚げ公演は大成功に終わった。「芸術とエロスのはかなさ。素晴らしかった。あなたみたいな人が演劇界の未来を背負っていくのだと思う」とセレブのママに重信は激賞される▼芝居にばかり打ち込んでおれる資金的余裕はなく、全員アルバイト兼業だ。重信も交通量調査のスイッチを押していたが…春に問い詰められる。「バイト先でエロイ人は? 綺麗な人は? 言え。怒らないから」重信が白状した。「裏切りだよ。色情狂だよ。バイト辞めるっていいな、いますぐ!」とケータイを突きつける。春との間に隙間風が吹き始め、ある日春は「離婚します」玄関に紙を張って出て行った。「一緒に芝居やるか、一緒に暮らすか、どっちかにするほうがいいと思う」という分岐点で、春は芝居をとったのです。劇団員は「なんで春ちゃん、降りたの?」と重信への不信を隠さない。「前は重信についていこうって思えたけど、重信ってさ、私たちのこと、好き?」「うるさい。マジでウザイ!」つかみ合いの大げんかになるが、このシーン、マジで迫力ないですね。女優たちの体力・腕力不足ね。キスシーンは長い舌、出しすぎだし。ドラゴンなんとかっていう恐竜映画みたいだわ(笑)▼資金繰りに困った重信がセレブのママに金を借りに行く。「いいわ」と色よい返事。でも世の中甘くない。重信はオムツをはめ、変態のオッサンたちにいたぶられるのだ。まあ、こういう挫折もきちんと入っています。重信はオムツにもまけず、春との離別にも負けず、「毛布教」教祖としてまっしぐら。ある日春が訪ねてきた。「次の舞台、決まったんだ」「そうなんだ。よかったね」「見に来なくていいよ」。あっさり背中を見せて去る。わざわざ見に来なくていいというのは「見に来てくれ」の反意語か。そうとも見えなかったけどな。だいたいあんまり深読みする映画じゃないと思う。次回公演も大成功。資金繰りのめどは立ったのか、そこまで描いていないけど劇団の入り口に「仲間募集」の張り紙を重信は出す。わりといいのじゃない? 使い古された「みずみずしい感性」なんかクソくらえ、サクセスとセックス(この二つの言葉、似ていますね。知らないけど、語源は同じなのか)への欲望が、夢の途中で熱を放射している。ごくフツーの、ラブシーンは下手だけど、みだらでイキのいい女たちに好感が持てた。シャッターを上げ、誰もいない稽古場で、一人黙々と床を掃く重信もよかったですよ。ただの女たらしじゃない感じがして(笑)。