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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2018年2月28日

特集 LGBT―映画に見るゲイ258
アンダー・ハー・マウス(下)(2017年 ゲイ映画)

監督 エイプリル・マレン

出演 エリカ・リンダー/ナタリー・クリル

シネマ365日 No.2404

自由になりたかった

特集 LGBT―映画に見るゲイ

 ふたりがしっかり出来上った翌朝、ダラスの部屋でジャスミンが目覚める。ダラスがコーヒーを持ってきて会話を交わす。婚約者からかかってきたケータイを、ジャスミンがポイッとベッドに放り出す。全身で(あなた、お呼びじゃない)と表している。ダラスは大きな雪だるまを作った子供の頃の写真を見せる。「重いのに。やんちゃだったのね」「腰を痛めた。女の子らしくしろと母に怒られた」「男勝りね」「その言葉、嫌いだった。レッテルを貼られるような気がして。私はそんな単純じゃない」「男になりたかった?」「自由になりたかった」。この映画の、そしてダラスの求める人生のキーワードはこれだと思うのです。ダラスは自由になりたかった。毎夜のように別の女性と関係を持つことを「女あさり」というと、ダラスはまた「そんな単純じゃない」と答えるにちがいない▼いきなりですが学生時代(ふ〜ん、そういうものなのか)と妙に納得したこんな文章があります。「夫や愛人のそばでは女は自分自身になりきれない。女の愛人のそばでは女は気取らないし本心を偽る必要もない。彼女たちはあまりによく似ているので、自分をさらけ出さないわけにはいかない」。書いたのはボーヴォワールで、今読み返せば、ダラスの求める「自由」が言い尽くされているような気がする。さらに言い足すなら社会的な制約や色眼鏡や批判など、ダラスにとって女性を愛する前には意味もヘチマも失う。彼女は女性を愛することによってのびのびとし、先鋭的で自立する。彼女は大工の父親を愛し、その技術を受け継ぎ「生まれたときから腕は父親より上だった。自分は社長だから(従業員なしですが)誰にも気兼ねしない」と、経済的にも自信がある。子供のころ、母親の手料理と完璧なアイロンかけに幸せを感じた女の子です。ジャスミンの質問にも女性との初体験やカミングアウトした年齢など、隠さず答える。「変化が起こるって予感を味わったことは?」「君を見つめるときかな」キレイなセリフがいくつかあります▼ジャスミンは婚約者の元に戻ろうと、ダラスは元カノとよりを戻そうとしますがうまくいかない。しかしこれらはみな付け足しであって、本筋はセクシュアリティの自由をしっかり認識したダラスのこれからでしょう。初期衝動の後の、平凡な日常の実人生がダラスの「自由」を試すことになり、監督はそれを続編にするつもりです。しかしながら、欲をいえば本編で、ダラスの「自由になりたかった」内部をもう少し描き揉めば、延々続くベッドシーンと「ネオイケメン」だけが話題になる、軽い評価ですむことはなかったでしょう。