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特集「春が来た、3月のベストコレクション」

2018年3月6日

特集「春が来た、3月のベストコレクション」⑥
素敵な遺産相続(2017年 コメディ映画)

監督 アンディ・テナント

出演 シャーリー・マクレーン/ジェシカ・ラング/デミ・ムーア

シネマ365日 No.2410

レジェンドさま

エヴァ(シャーリー・マクレーン)は元教師、夫に死なれたばかり。葬儀の席で40年来の親友マディ(ジェシカ・ラング)が傍目もはばからず盛大に泣く。親友の夫の死もさることながら、自分の夫の浮気がわかったショックなのだ。エヴァの娘クリスタル(デミ・ムーア)は、母親が一人になってローンも払えないと心配している。保険金は5万ドルだが焼け石に水だ。喫茶店でエヴァとマディが喋っている。医者になった教え子からマディの体調がよくないと聞いたエヴァは自分には本当のことを言ってと迫っているのだ。渋々口を割ったマディは「余命半年、生存率20%、それで充分よ。半年先まで大丈夫ってことよ。この話は二度としないで」と口を封じる▼エヴァに保険金500万ドルが振り込まれた。間違いを正そうと二人は躍起になって保険会社に連絡を取るが、ナビの機械的な案内に戸惑い、ケータイに向かって「相談ごとよ、担当を出して」と大声で言っている。しかし小切手は正真正銘保険会社が降り出したものだし。「マディ、何がしたい?」「浜辺で服を脱ぎ捨て焚き火にくべて、イケメンと踊りたい」想像したエヴァは「恐ろしい」とだけ呟く。保険会社ではミスを部下になすりつけようとする上司の指示で、定年間近のヴェスプッチがお金を取り返すことになった。エヴァの家はもぬけのカラ。行先は北アフリカのカナリア諸島と突き止めた彼は、娘のクリスタルを同道し、回収に行く。シャーリー・マクレーンは83歳、現在もバリバリ作品を撮っている、もはやレジェンドというべき女優だ。相棒のジェシカ・ラング68歳。オスカーに二度。最近は「アメリカン・ホラー・ストーリー」で怪演。ジェシカが出なくなったとたん、ドラマは火が消えたようにさびしくなり、復帰コールが鳴り続けるという、もう一つの「ホラー・ストーリー」を生み出した▼このふたりの演技云々をいうのは愚かしい。表情の輝き、声の潜み、微笑が通り過ぎるときに見せる陰り。マディが若い喫茶店のウェイトレスに訊く。「夫があなたくらいの女性と浮気しているの。トイレに1時間もこもり、ハゲでバイアグラを常用する男が」ウェイトレスは困惑し「年を取っても美人なのに、なぜそうムキになるの?」。エヴァがウェイトレスを下がらせ、あと半年、親友とどう過ごすか…そこで決めたのが、世界で一番美しい海辺、カナリア諸島での豪遊だ。飛行機はファーストクラス。ホテルはスイート。飲み物はシャンパン。トロピカルなファッションでプールサイドに憩う。老紳士が声をかけにくる。エヴァは追い払いたいがマディは親しく会話を続ける。カジノに誘われ、マディはバカ勝ちする。アクティヴな行動が全然違和感のないことが素晴らしい。エヴァもマディもそれぞれパートナーを見つけるが、一人は詐欺師、一人はレベルを張り替えてヴィンテージだと偽り、安物のワインを観光客に売りつける、これまた、カルロスというイカサマ師だ▼大騒動の最中にヴェスプッチと娘が到着した。「カルロス!」とエヴァが大声で呼んだ。「その呼び方は、エヴァ先生」彼は交換留学生できたエヴァの教え子だった。ヴェスプッチはエヴァの事態収拾を見て「あなたの勇気と教育力に感動」する。マディのカジノが破産するくらいの大儲けがあり、保険金を返しても充分釣りが出た。万事うまく収まり、帰国することに。でもマディは親しくなったイケメン男子のホテルマンとこの島に残ることになった。「戻ってくるのよ」とエヴァ。マディは首を振り「むり」とつぶやく。ホテルでマディは倒れたのだ。死期は近い。二人は静かに抱擁を交わす…ラスト。波打ち際で花を海に流しているイケメン男子、辺りには無数の花が波に揺れている。エヴァが、クリスタルが、ヴェスプッチが花を見送っている…シーンは一転、笑顔いっぱいのマディ、ここにいるみんなはマディの結婚式に参列しているのだ…とマア、どうしようもないくらいのハッピーエンド。こじんまりした映画ですが、ケチをつけるとレジェンドさまのバチが当たりそうです。