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特集「春が来た、3月のベストコレクション」

2018年3月13日

特集「春が来た、3月のベストコレクション」⑬
エイリアン コヴェナント(下)(2017年 SFアクション映画)

監督 リドリー・スコット

出演 マイケル・ファスペンダー/キャサリン・ウォーターストン

シネマ365日 No.2417

神は神のままに

特集「春が来た、3月のベストコレクション」

だいたいこのデヴィッドというアンドロイドが、父親に言うのは「あなたは死に、私は死なない」。人間みたいなヤワな造型ではないのだってことね。死ぬことも病むこともない、人工神ってことか。人間に作ってもらっておいて、あなたちょっと態度大きくない? 彼はショウ博士が好きだったのに、彼女が航行中の休眠に入って孤独になった、寂しくてメカニズムが狂って、目指す惑星に到着した時は「我が名はオジマンディアス、王の中の王」と名乗りをあげるのだから、愛も情緒も失って支配欲の権化になっちゃったのね。ショウ博士を実験台にするはずよ。とんでもない奴だ、こいつを地球に帰すわけにはいかないと悟ったウォーターはデヴィッドと格闘、ところがデヴィッドはウォーターをやっつけ、彼になりすまし、母船に帰艇し、一緒に連れてきた怪物のおかげで乗組員は全滅。デヴィッドだと信じていたただ一人の生き残りダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)は、休眠に入る一瞬前、ふと漏らしたウォーターの言葉からこいつはデヴィッドだと気づくが時すでに遅し。眠り姫と狂った創造主は再び宇宙を航行する。どうなるのって? 知らない。スコット監督は続編を考えているらしい▼壮大なSFサスペンスにして深遠な思想劇です。でもな〜、筋書きがあまりにも定番通りだし、「振り向いたらエイリアン」の出現の恐怖も弱くなった。あれ、爪楊枝みたいな貧弱なエイリアンの姿形のせいよ。グロテスクで邪悪の塊だった怪物の醜悪さが薄れているわ。ヒロインのダニエルズが丸々して顔もふっくら、どう見ても最凶のモンスターと互角に戦えるタマに見えない、これもイタかった。本作の主人公はデヴィッドです。多分リドリー・スコットは以後のシリーズをA.I主役にしていきたいのでしょう。「エクス・マキナ」とか「オートマタ」あるいは「モーガン プロトタイプL」とか、人工知能を主役としたいい映画が市場に出始めたし、リドリー・スコットのチャレンジ精神としてはそれこそ人類の起源を追求したいのだろうけど。でも人工知能を追いかけていくと、結局のところ人間と共存するかしないかの瀬戸際がテーマになっていかない? せっかく、エイリアンという空前絶後の悪のファンタジーを作り出したのだから、やっぱり、「悪はパワーなり」に徹してほしかったわ。見るからにブサイクな主人公だけど、あれが傑作なのよ。無表情なアンドロイドもツブシだったわね。人類の起源はどこの星にあるか知れないけど、人間の心の起源は情だわよ。その部分をどれだけA.Iに取り込めるかが開発の最大の課題なわけでしょう。過去の「エイリアン」には最小限度、情の部分があったわ。監督の頭の中では「エイリアン」の謎の部分がまだまだあるのでしょうね。物語のプロセスとしては「プロメテウス」「コヴェナント」次の予定が「エイリアン・アウェイクニング」ですって。「プロメテウス」で懐疑的なメレディス(シャーリーズ・セロン)が「異星人と遭遇してもコンタクトするな」つまり「触らぬ神に祟りなし」を地で行っていたでしょ。本作のラストを見ると、まるでそれが正解だったと言わんばかりなのには、思わず笑ったわ。謎は謎のままに、神は神のままに、が案外リドリー・スコットの着地点になるかもね。