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特集「ヤバい女2」

2018年3月27日

特集「ヤバい女2」⑦
ファイティング・ガール(下)(2004年 劇場未公開)

監督 チャールズ・S・ダットン

出演 メグ・ライアン/オマー・エップス

シネマ365日 No.2431

生き返ること

特集「ヤバい女2」

試合のオファは全てマネージャーを通すのは当然ですからジャッキーが窓口になります。それはいいとしても、テレビのワイドショーやトークショーへの出演が殺到した。ルーサーのトレーニングをチェックし、相談に乗る時間が減った。インタビューはルーサーではなくジャッキーが目当てだ。今や自前のジムを所有するまでになったジャッキーだが、そのジムにさえ顔を見せることが少なくなった。たまに来たらゾロゾロと記者を引き連れている。「練習中は記者を入れるな」。ルーサーはイライラを隠しきれない。宣伝活動は「すべてあなたのためよ」というジャッキーに「自分のためだろ!」と言い返す。「次の試合は特別だ。俺を見ていてくれ」俺だけを見ていてくれと言いたいのだ。▼そこへ全局ネットワークの大手から取材が入った。ジャッキーは自分とルーサーを売り出してくれた地元局のギャビンとの契約を反故にし、大手と契約する。ギャビンはいう。「君は過激で大胆だったがいつも基本は誠実だった。自分の言葉に責任を持ち、嘘をつかない。たいていの人間はそこまでできない」。試合前過敏になっているルーサーはブチ切れる。「今の貴方があるのは私のおかげよ」「お互い様だ。今のあんたがあるのも俺のおかげだ。勝手にやれ。あんたとは手を切る。セコンドにも入るな」「私に逆らえば終わりよ」。ルーサーがラロッカの会社に行き、「俺を買ってくれ」と頼む。ジャッキーは契約ごとの苦手なルーサーのために、黙ってラロッカのオフィスに行き、自分は一切手を出さないことを条件に、ルーサーの有利な契約を取り決める。ところが甘かった。ラロッカは「チャンピオンに挑戦させる」という条件を逆手に取り王座決定戦を3週間後にやると決めたのだ。3週間では調整できない。ルーサー潰しは明らかだった。仕方なく受けるがルーサーの士気は屠殺場に惹かれていく牛だった▼ここからあとがクライマックス。ボクシング・シーンは傑作の仕上がりです。全部オマー・エップスが演じ代役はワン・ショットもありません。ダウンを奪われノックアウト寸前のルーサーのコーナーにジャッキーが走る。万一のときに備えて身につけた「スウィッチ」を「次でやるのよ!」。見違えるように軽快になったルーサーのフットワークに敵の足は乱れる。ジャッキーの声が聞こえた。「今よ」。右ポジションにスウィッチしたルーサーの右ストレートが炸裂する…。ジャッキーについて劇中メグはこんなセリフを言っている「男の世界で成功できたのは媚びずに対決したからよ。彼らは不慣れだったの。ハイヒールを履いた獣にね。不快に思われたって遠慮なんかしない」いかにも映画的なセリフだが、ボクシングという冷酷で自分本位の世界に単身風穴を開けたのだ。女だからという理由で無視され続けてきた彼女の人生で、初めて注目されたことを思えば、多少舞い上がったって大目に見てやれ、と女なら思うだろう。ジャッキーもルーサーも野心はあるのに前に進めなかった。ルーサーは黒人だ。ジャッキーは男社会の番外地で、どっちもマイノリティだった。サクセスストーリーには違いないが、彼らが背負ってきた抑圧の荷を思えば、サクセスよりリバース(生き返る)に近い。