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特集「ヤバい女2」

2018年3月30日

特集「ヤバい女2」⑩
ストリップクラブ殺人事件(2016年 劇場未公開)

監督 ボブ・クラーク

出演 アリシア・ワトソン

シネマ365日 No.2434

怖いのはこいつら

特集「ヤバい女2」

しみじみつまらん映画だと思ったのですが、どこか引きずるところがありまして…どういう箇所がそう思わせたのか。ヒロイン、ミーガン(アリシア・ワトソン)がストリップクラブで働く動機は、男に裏切られ、お金に困って友だちのアマンダが住んでいる田舎に来たことです。彼女はアマンダの彼氏ボビーが経営するストリップクラブで、ウェイトレスとして働く。母親は自殺した。母親は施設にいて、ミーガンに手紙を残した「父親を殺したのはあなたに手を出したから。あの男があなたを犯すのを見て、殺すことにした、私はすべきことをした、もうあなたを傷つけさせない」。バリバリの社会派映画の出だしです。クラブにはジャズ、カルメン、キムという3人が新人いびりをしていた。いびるなんてものじゃない、気にいらないと殺してしまうのだ▼ミーガンはお金を貯めて大学に行きたいと願っている。大学も出ていない、ストリップクラブで働く女を誰も相手にしないと思う。ボビーに「ダンサーをやりたい」といったら「考え直したらどうだ。俺は今のままのほうがいいと思うぜ。ダンス以上のことを要求する男もいるし、男を喜ばせなければ金は稼げない」「とやかく言われたくない、とにかくお金を稼ぎたい」「じゃ、立って体を見せてくれ。確認しないとな」。ボブはオーケーするが親友の「アマンダが怒るぞ」とだけ言う。ミーガンはダンサーとしてステージに立つが、バーテンのチャーリーが忠告する。「ジャズとキムとカルメンは信用しちゃダメよ。恐ろしい人間なのよ」。ところが彼女は両目をえぐられて殺されてしまった。3人が「お仕置き」と称して、「整形手術」を施し「角膜をとっちゃいなよ」「かわいい白目だわ」「これって脳の一部なの?」「見つかる前に片付けて」。こう言うノリなのだ。殺人狂ストリッパーを演じた3人の女優さんたち、よく引き受けたと思う▼ミーガンはボブのホームパーティに招待された。もちろん3人も先輩ストリッパーとしてご招待されている。彼女らはミーガンのカクテルグラスにツバを吐き、運ぶ。いつの間にかミーガンだけが一人になり、3人が取り囲んでいる。ミーガンはボブにレイプされる。怒りに燃えたミーガンがボブとジャズら3人に復讐するのが後半だ。ミーガンは3人を殺し、レイプ犯のボブも殺す。アマンダが入ってきて、拳銃をミーガンに向けるから、彼氏を助けるのかと思ったら、クルリ、銃口の向きを変え、ボブを撃っちゃうのだ▼深く考えても仕方ない映画だが、恐ろしいのは殺人狂の3人よりミーガンにアマンダだろう。ボブは最初に「やばい仕事だからやめとけ」と忠告したはずだし、ジャズたちイジメ3人組は狂っているが、ミーガンは辞めようと思えば辞められたのだし、ベンベンと彼女らの餌食にならずに済めば済んだのだ。気に入らないから殺しに走ったのはミーガンのほうだ。アマンダにしたって、どこまでミーガンと深い関係か知らないが、少なくとも彼氏を射殺して悪くすればムショ入りするほど、込み入った仲ではなかった。彼女らの復讐とは、限りなく軽い感覚で殺人することだと思えば、本当にやばいのは彼女らだ。「ノック・ノック」や「メイク・アップ」の狂人女子に近い。ボブ・クラークは67歳で亡くなり(2007)、寡作だったが「暗闇でベルが鳴る」などシャープな感覚だった。どうしようもないつまらん映画だと切って捨てる前に、そんなことを思い出した。