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特集「ヤバい女2」

2018年3月31日

特集「ヤバい女2」⑪
ハットンガーデン・ジョブ(2017年 事実に基づく映画)

監督 ロニー・トンプソン

出演 マシュー・グード/ジョエリー・リチャードソン

シネマ365日 No.2435

ヨーロッパ最強の女

特集「ヤバい女2」

ロンドンの宝飾品取引の中心地にして、ダイヤ、エメラルド、ルビー、パール、あらゆる世界の名品が集まるハットンガーデンで、総額280億円を強奪した60歳以上の強盗チームの実話。高齢社会を反映してか「ジーサンズ」やら「エクスペンダブルズ」やら、加齢なる男性チームの作品が増えてきました。本作に関して言えば、実話ベースだからあんまり飛びはなれたお話にもできなかったのだろうけど、さっぱり盛り上がりがなかったな。個性的な泥棒テクも見せ場がなかったしね。無事仕事を終えてこれにて解散となったのち、あっけなく逮捕されるのも、犯罪者なのだから当然なのだけれど、映画としては(な〜んだ)なのよ。主人公の一人、名前のない男にマシュー・グード。髭面に野性味が出てよかったのだけど、いかんせん、それだけだった▼言っちゃナンだけど、シルバー世代の男性たちを主人公にするのだから、アクションは無理、彼らの一人は肺気腫でゲホゲホ、でも1日40本のタバコをやめない。一人は心臓の発作を抱えているが、やるべきことはやると現場にとどまる頑固男、一人は情報収集のプロ。派手なアクションも脱獄もないが、頑固な気力と経験と、アナログのテクで目的を完遂するのがクライマックスのはず。そこがショボイから致命傷だわ。ただ一つ、この女優の登場が救いだった。ジョエリー・リチャードソンです。マシュー・グードは刑務所でハンガリー・マフィアのゾルタンから大仕事があると聞かされる。3年の刑を終え出所し、早速ゾルタンの指示通り、彼のボス、エリザベート・ジロンドスを訪ねた、つまりジョエリーね。マシューがいうには「ヨーロッパ最強の女」だ。彼女は「ハットンガーデンの金庫の下にはいれたら、仕事をやってくれる?」スーパーの買い物でも頼むようにいう。マシューは引き受ける。ジョエリーは宝石の中の卵ほどの(→ちょっと大げさ)ダイヤがお気に入りで、それを何日何曜日の朝、私に持ってきてくれ、約束をたがえたときは、命で代償を払ってもらう…。マシュー君、断崖絶壁です▼さて、このエリザベートですが、ハンガリー・マフィアのトップ、ヨーロッパ最強の女という役に、釣り合う貫目がジョエリーにはあります。軽い女優では無理ですね。彼女がダイヤを受け取りに倉庫に現れる。186センチのマシューと並んでも引けを取らない長身の、すらっとした金髪。50代になったと思いますが、若いときより凄みが出ています。すでにお気づきかもしれませんが、母親がヴァネッサ・レッドグレーヴ、父親がトニー・リチャードソン監督。イギリス映画界のサラブレッドであり、両親ともオスカーを受賞しています。母ヴァネッサは80歳にして初監督チャレンジという、真っ青になるほど前向きの人。ジョエリーはマリー・アントワネットとか、エリザベス1世とか、女王役を華やかにこなす一方「ドラゴン・タトゥーの女」とか「マギー」とか、サスペンス。シリアスな地味目もバチッ。本作のマフィアのボスという、今までになかった最高に「やばい女」を、スタイリッシュに演じました。