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2018年4月4日

特集「ディーバ16」イザベル・ユペール④
母の残像(2016年 家族映画)

監督 ヨアキム・トリアー

出演 イザベル・ユペール/ジェシー・アイゼンバーグ/ガブリエル・バーン

シネマ365日 No.2439

妻よ、母よ。

特集「ディーバ16」イザベル・ユペール

乱暴なまとめ方をしたら、結局こういうことなのね。戦争写真家の母イザベル(イザベル・ユペール)が3年前に死んだ。車の事故だったが自殺だと考えられる。残された夫、息子二人の男世帯3人はガタピシして元気がない、というより再起不能に近い。長男ジョナ(ジェシー・アイゼンバーグ)は結婚し、一女をもうけたが、産院にいる妻の部屋に行くのに、お弁当を買っていくのを忘れる。売店に行ったのはいいが、元カノに会いクチャクチャ喋って時間を食い「遅かったわね」と妻は不審顔。「売店が閉まっていた」と苦しい言い訳をする。で、妻は腹ペコのまま放って置かれる。やさしいから怒らない。次男のコンラッドは引きこもりだ。父親ジーンはイザベルが家にいないから芝居をやめ、高校教師になった。次男の通う高校だ。そこで担任の女教師エレンと不倫中。彼女と一緒にいるところを次男に見られ、それでなくとも父親不信だった次男はますます情緒不安定に。父親は女教師と別れることにする▼長男は父親に呼ばれ実家に来ている。母の遺品整理と、近く回顧展があるので作品の整理のためだ。父親はコンラッドと距離があるのを苦にし、長男に橋渡しをしてくれと頼む。もうひとつ、母親の自殺をいつまでも隠しておけないからコンラッドに言おうと思う…でも長男は彼を傷つけるから言わないほうがいいと反対する。お父さん、悩む。回顧展を仕切るのは、イザベルと同じ写真家のリチャード。イザベルの半身ヌードの写真があるが、撮影者がうっすら鏡に映っている。よく見たらリチャードだ。「妻と不倫していたのか」とジーンが聞くと「そうだ」という。でも国外だけの割り切った関係だったと。イザベラが自殺したのはなぜだろう。戦場から家に帰ってきても数日はいいが、そのうち夫と息子はそれぞれの生活に、イザベルは帰宅するのをあれほど懐かしがっていた自分の家に、自分の居場所はないのだと思い知る。で、また戦場に出かけるわけね。男たちは妻と母親のいない生活に慣れ、いてもいなくても(どっちでもいいか)と思っていたが、彼女は死んでしまった、永久にいなくなってしまったとわかると、精神的にガタガタになる。パパは不倫に走るし、長男は妻との間に隙間を感じる、だけじゃなく元カノと関係を結ぶのだから足元フラフラだ。次男は精神的孤絶状態。一家の中心は家にいようと、いまいと母であり妻であったイザベルだった、つまり女だったってことね。ホント男って弱いわね▼イザベルは本当に自殺だったのかしら。監督がそこをぼかしているのは、どっちでも大局に関係ないってことよ。死んじゃったあとの男たちのうろたえぶりを描きたかったにちがいない、と勝手に思うわ。だってほとんどセリフらしいセリフも言わず、アップで無表情にド〜ンと映されるイザベルを見たら、なんだ、これだけで映画を保たせる女優を、監督は撮りたかっただけかと思ったの、私だけかしら。あとひとつ、イザベルが英語しゃべっているのが残念だった。彼女の英語作品はありますよ、「ハッカビーズ」とか「窓 ベッドルームの女」とか。悪くはないにしても、見たことのない女優みているみたいに印象度薄かったわ。