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特集「怖いものみたさ」

2018年4月10日

特集「怖いもの見たさ」①
エクリプス(2017年 ホラー映画)

監督 パコ・プラサ

出演 サンドラ・エスカセナ/アナ・トレント

シネマ365日 No.2445

可哀想なヴェロニカ

特集「怖いもの見たさ」

正統派スパニッシュホラーです。監督は同じだけど「レック」よりよほどいい映画だわ。ヒロイン、ヴェロニカ(これが原題)のサンドラ・エスカセナは、ペネロペ・クルスの若いときにそっくりな美しさ。彼女の母親アナになったのがアナ・トレントです。「ミツバチのささやき」「カラスの飼育」のヒロインです。それぞれ7歳、9歳の時の子役から51歳になり、順調に映画界を生き抜いたキャリアが、渋い存在感を出しています。うまいですね。ヴェロニカは15歳。4人弟妹の長女。母親は飲食店を経営し、朝から晩まで働いている。家事一切と弟妹の身の回りの世話、学校の送り迎え、15歳の少女には過酷な日々をヴェロニカは送る。母親とは落ち着いて話す時間もなく、母親もこれ以上疲れることは聞きたくないとばかり、耳をふさいでいる。住まいは高層団地。向かいの建物の窓から、少女が父親と本を読み、笑いながらおしゃべりしているのを見ると寂しくなる。そして父と話したくなった日食の日、級友のロサとディアナと地下室にこもり、降霊術の文字盤を使って父親の霊と話そうと思った。何か現れた気配はあるが父親ではなく、太陽がすっぽり月の影に入ったとき、ヴェロニカは胸に強い衝撃を受けて失神した。シスター死神と呼ばれる盲目の修道女が学校にいる。彼女はヴェロニカに「とんでもない危険なものを呼び出した。やつはお前についてくる。弟妹を守ってあげなさい」そして「必死に逃げれば逃げ切れるかも」とつぶやく。ヴェロニカは悪夢にうなされる。ベッドから黒い手が何本も伸びてきて絞め殺されるとか、死んだ父親が真夜中に会いに来るとか。弟が風呂に閉じ込められ火傷を負ったこともある。シスターが言うには霊を呼ぶ儀式にはルールがあり、呼んだあとは「去れ」と命じ「扉を閉め」ないと霊は人に憑く。ヴェロニカに憑いた霊は父親ではなく危険な悪霊だった。ヴェロニカは弟妹の身辺にも悪霊が近づいてきたのがわかる。もう一度儀式をやり直して、霊を追い返そうとする。途中までうまくいったが、霊は暴れまわりとうとう弟に取り憑いた。ヴェロニカは鏡を見ながら、「狙いは私なのね」。そういうと鋭いガラスの破片で自らの喉を掻き切るのだ▼痛ましいわね。字幕によると「1991年6月15日午前2時、警察に救助を求める通報があり、ロメロ刑事が急行した。室内で見たのは空中に浮かんでいるヴェロニカだった。被害者家族の証言によるとヴェロニカは霊界との交信儀式の後奇妙な動きを始め、超常現象が家で起きたという。現場にいた刑事2名が体調不良で2週間の休養。ロメロ刑事も異動を申請した。ロメロ刑事の報告書によれば説明不能な事態と記述。刑事が超常現象を認めたのはスペイン史上初の事例」。どこまで事実なのかわからないけど、弟妹を守ろうと必死で悪霊と戦ったヴェロニカがひたすら哀れよ。いくら説明しても母親は一笑にふし、娘も疲れているのだ、明日はみんなで公園に行きましょうとねぎらいは見せるのだけど、それまでに至る日々の家事の軋轢は相当だった。こういう心やさしい子に、悪霊は取り憑くのね。舐めているのよ。どうせならヴェロニカの友だちのイケズ女子に取り憑いてやればどうなの。こういうあくどいやつには近づかないのね。悪霊だ、ヘチマだというけど、結局は弱いものイジメなのよ。よくわかったわ。可哀想なヴェロニカ、演じたサンドラに、次はいい役が回ってきますように。