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特集「怖いものみたさ」

2018年4月13日

特集「怖いもの見たさ」④
バイバイマン(2017年 ホラー映画)

監督 ステイシー・タイトル

出演 ダグラス・スミス/フェイ・ダナウェイ

シネマ365日 No.2448

どついたれ、ネズミ男

特集「怖いもの見たさ」

「バイバイマン」とは考えても言ってもいけない名前。言った者も聞いた者も死ぬ。彼は幻覚を見せ、行動を操り、善良な人に恐ろしいことをさせる、そうレッドモン夫人(フェイ・ダナウェイ)はエリオットに言う。彼女の夫ラリーは1969年の10月、近所の住人8人を散弾銃で射殺し、服毒自殺した。彼は「考えるな、言うな」と呪文のように繰り返していた。バイバイマンを防ぐ方法はただ一つ、彼の名前を知った人を殺して自殺しなさい…。エリオットは恋人のサーシャと親友のジョンで古い一軒家をシェアして住んでいる。サーシャが、この家は気味が悪いというので、引っ越しパーティの後、サーシャの友だち霊能師のキムが浄霊する。しかし彼女はエリオットが「バイバイマン」という名を口にした途端気絶する▼バイバイマンの幻覚操作によって、エリオットはジョンとサーシャが自分を裏切っていると思うし、キムは列車事故で死ぬ。図書館の司書であるワトキンスは、バイバイマンという名をエリオットから聞いたために、家族を殺し自分は轢死する。キムはうっかりルームメイトにその名を告げてしまい、後続を断つために彼女を殺し自分は列車に轢かれる。本作があまり怖くないのは、バイバイマンが悪魔でも、被害者たちの妄想上の男でもなく、猟犬を連れ黒いフードをかぶって、コインの音とともに現れる、れっきとした肉体を持った存在であることね。年齢国籍言語不詳で、フードをとったら、毛がまばらに生えた、ネズミ男みたいなハゲ頭の痩せた男である。バイバイマンは人の恐怖をエネルギーとし、力を強めるから、そうだ、怖がらなければいいのだと、エリオットは敢然と立ち向かうのだけど、いかんせん、ネズミ男のパワーの方が強くて、恋人を射殺し、ジョンにも重傷を負わせる。主人公3人ともメチャクチャの目にあう。エリオットはレッドモン未亡人に「なぜあなたは生き残ったのですか」と訊く。夫人は破顔一笑「名前を知らなかったからよ。夫は私に言わないで死んだの」▼だからエリオットは被害を最小に食い止めようと、警察でも聴取に当たったショー刑事(キャリー=アン・モス)に口を閉ざす。ショー刑事はエリオットが発狂し恋人と友人を射殺した、という見解が腑に落ちない。重傷だが息のあったジョンの口に耳をつけ「何があったの」と訊くと「バイバイ…」まで聞き取れた。全部聞き取ってショー刑事と彼女の家族に厄災が乗り移るかどうかわからないところでエンド▼恐怖は自分が増幅させるもの。これが一つ。民話には子供をしつけるために「怖い存在」(例えば鬼)をこしらえて、「いうことを聞かないと鬼が連れに来るよ」などという使い方をした。バイバイマンもその系列だろうと思ったら、なんだ、現実にこの世にいるネズミ男だったのね。おまけに彼が連れている猟犬が、まあ、死者の肉をガツガツ食べるしつけの悪い犬で、つまりネズミ男はろくな食事も与えてやらないケチなのよ。エリオットがもう少し早く気がついて恐怖を追い払えば、簡単にブチのめしたでしょうに。この映画の残酷さは、バイバイマンより、エリオットは図書館の司書を轢き殺し、サーシャを射殺し、キムは轢死に至り、自分は拳銃自殺する一連の妄想よ。アホらしい映画の割に後味良くない(多分、自分も同じように怖がるだろうと思うから)。ワンシーンだけで存在感を与える、フェイ・ダナウェイの健在ぶりが唯一の救い。