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特集「怖いものみたさ」

2018年4月14日

特集「怖いもの見たさ」⑤
面会時間(1982年 ホラー映画)

監督 ジャン=クロード・ロード

出演 マイケル・アイアンサイド/リー・グラント/リンダ・パール

シネマ365日 No.2449

功なり名遂げる

特集「怖いもの見たさ」

ホラーのカルトとなった名作。ヒロインのデボラ(リー・グラント)が襲撃されるまでの導入部がズバぬけていいです。デボラは第一線のニュースキャスターで、非暴力を訴え、番組出演中の検事たちを吊るしあげようとしている。コルト(マイケル・アイアンサイド)は幼年期、母親が暴力を振るう父親に煮えたぎった油をぶっかけた記憶が焼き付いている。コルトは父親が大好きだった。中年男となった今も、車椅子の父親を甲斐甲斐しく介護するが、こと女性になると、特に母親が代表する強い女性に異常な憎しみを抱く。彼の正体はシリアル・キラーだ。女性を狙い(タイミングによって男性も殺す)、殺しの後でデスマスクをカメラに収める。彼の家のクローゼットの壁には、過去に殺害した女性、現在標的とする女性たちの写真、デボラと彼女の看護担当となった看護師シール(リンダ・パール)の写真がきっちり貼られている▼犯人はわかっている、被害者になる女性もわかっている、あとは殺人鬼が女性たちを追い詰めていくプロセスと加害者・被害者像の作り込みで見せる映画です。目的を達するまでデボラにつきまとうコルトの異常な執拗さ。アイアンサイドのセリフはほとんどなく、この映画は、顔と行動でサイコ男を演じる「カナダのジャック・ニコルソン」アイアンサイドの独壇場です。デボラを献身的に看護するシーラのリンダ・パールが光っています。小柄で細い、子供のような体格で、わが子を守り、殺人鬼に向かい合い、彼女が刺されたときは(殺すなよ、監督)と言いたくなった観客は多いはず。彼女は5歳から父親の仕事で日本に在住、東宝映画などに出演していました。15歳で帰国、ジョナサン・デミ監督の「クレイジー・ママ」で準主役を演じています▼さて主演のリー・グラントにも触れねば。ジャン=クロード・ロード監督は、デボラは彼女をイメージしていたと言っているくらい。シャープな容貌といい、身ごなしといい、一部の男性が毛嫌いするバリバリのキャリア・ウーマンを好演しています。狂った犯人は何があっても自分を殺しにくると確信した彼女は、重傷で運び込まれたシーラのそばを離れコルトをおびき寄せます。警備員は殺されてしまった。一対一である。武器はない。逃げきれるか。ここからラストまで、スクリーンからひたひたと押し寄せてくる恐怖と圧迫は、血しぶき一つ飛びませんが、ジェイソンもかないません。アイアンサイドはデイヴィッド・クローネンバーグの「スキャナーズ」で、奇人列伝の雄にふさわしい映画を撮っています。リー・グラントはハリウッドの「赤狩り」によって干され、15年のブランクを物ともせず「夜の大捜査線」でカムバック。「シャンプー」でアカデミー助演女優賞。2018年3月現在で90歳。まさにレジェンドとなりました。リンダ・パールはステージやミュージカルで実績を積み、1998年のデビュー・アルバム「アローン・トゥゲザー」では、歌手として多くの評論家から絶賛されました。それぞれに功なり名遂げてよかったです。