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特集「怖いものみたさ」

2018年4月16日

特集「怖いもの見たさ」⑦
スペイン一家監禁事件(2011年 ホラー映画)

監督 ミゲル・アンヘル・ビバス

出演 フェルナンド・カヨ/マニュエラ・ヴェラ

シネマ365日 No.2451

なすすべのない悲劇

怖いもの15-18

映画の始まりから、ハルメ(フェルナンド・カヨ)一家は不協和音の連続です。閑静な郊外のプール付き邸宅に引っ越してきたのに、娘のイサは墓場みたいなところだとブーブー言い、妻マルタは、夕食は引っ越し祝いを兼ねて家族三人で取るのだと主張、娘は約束があるから出て行くと決めつけ、パパは行くというなら行かせてやれ…夫婦の会話はすれ違いの喧嘩腰だ。やっとテーブルを囲んだ途端、グワッシャーン、ガラスドアを叩き破って三人の強盗が飛び込んでくる。物陰に潜んでいた怪しい影、とか家屋の周辺を伺っていた人物とか、説明的な前触れゼロ。突風のような侵入だ。犯人の青年は引っ越し業者だ。家中の配置も万事承知の上で、カバンに金目のものを詰め込み、3人にカードと暗証番号を言わせる。パパは言われた通りする▼リーダーがパパを車でATMに。限度額まで引き出させ、日付が変わったらまた引き出させ、ATMでは限界がある、明日銀行に行ってもっと引き出せという。すってんてんにするつもりだ。ここから画面はブライアン・デ・パルマの好きな二分割。一方でパパとリーダーのやり取り、一方で家に残った二人の強盗と母娘の受難を映していく。娘のボーイフレンドが来た。隣から悲鳴が聞こえるという近所の通報によって警備員が来た。彼らはみな殺されるのだ。手下二人は仲間割れする。母娘は脱出を試みるが全て失敗する。パパは運転中、クラッシュさせて強盗を気絶させ、よろめきながらも帰宅、娘はレイプされた相手を鈍器で頭を粉砕した。娘の狂気に残る一人はカバンを持って逃走した。クラッシュで気絶した強盗は息を吹き返し、娘と抱き合っているパパを後ろからハンマーで撲殺する。ママは拳銃を見つけ強盗を撃つが安全弁を外しておらず、ひったくられ頭部を撃ち抜かれ即死、ボーイフレンドも背後から一発。娘はナイフでぶすぶすと腹を刺され、強盗は逃走する。そこでエンドだ。なにこれ▼冒頭に正体不明の中年男性が頭に白いビニール袋をかぶせられ窒息寸前で横たわり、助けを求めてふらついているとき車に跳ねられるシーンがある。これは全くの別件で本編の流れとは無関係。いろんな試みのある映画だとは思うが、遊園地のダイザウロスと一緒で、もう一度乗るかと聞かれたらノーサンキュー。終始一貫娘の悲鳴が響き渡り、それが徐々にゼイゼイと息切れのようになり、狂ったように鈍器を打ちおろすシーンは鬼気迫る。「ファニー・ゲーム」でも思ったけど、殺される前に殺すしか方法はないわね。彼らの暴力なんて爆風と同じで理由なんかないのだから。それにしても家族三人と巻き添えを食ったボーイフレンドと警備員は気の毒というしかない。でもこの映画の主張は「気の毒」とか「可哀そう」とか言える余地なんてないということね。強盗がニコニコ挨拶して入ってくるわけじゃない。生活費を残しておいてくれるわけでもない。年頃の娘を手付かずでおいておくわけでもない。これが現実に起こる日常的な犯罪なのだ。認めよう。でもだからどうだっていうのよ。戸締りはしっかりやれ、格闘技を身につけよ、殺されたら殺され損だと諦めろとでも言うつもりか。なすすべがない悲劇。はっきり言ってこの映画嫌いです。