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特集「頑張るドイツ映画と女性監督」

2018年4月22日

特集「頑張るドイツ映画と女性監督2」④
マーサの幸せレシピ(下)(2002年 家族映画)

監督 サンドラ・ネットルベック

出演 マルティナ・ゲデック/セルジオ・カステリット

シネマ365日 No.2457

私の天使

特集_頑張るドイツ映画と女性監督

子供のいないシングル・ウーマン、それもマーサのように仕事一筋、家庭も子供も興味なく、家事・子育ては苦手中の苦手、子供の心もわからない。それがいきなり8歳の姪と同居、しかもクソガキはなつかず、二言目には「ママに会いたい」という。マーサの死んだ姉だ。仕事で疲れて家に帰ってガキのご機嫌までとっておれない。姪のリナはリナで、自分は叔母の邪魔者だと見なしているから、叔母のいたわりややさしさが(芝居だわ)と、ますます反抗的になる。ある日家出した。マーサは気が狂うほど探し回り、ようやく駅で見つける。22マルクでイタリアまでの切符を買いたいといって補導されたのだ。マーサは情けない。姪は口いっぱい喚く「あなたはママじゃない。あなたといるのはもうイヤ」「ママになるつもりもないわ」マーサも怒鳴り返す。リナがマーサのほおを張る。マーサも叩き返す。怒って車道に飛び出したリナを追って抱きとめ、車に押し込みかきくどいた。「死ぬほど心配したわ。二度とこんなことはしないで。ママの代わりにはなれない。でも出来る限りそばにいてあげたいの。出来る限りのことをしてあげたいの。不器用かもしれないけど努力はしているの。信じて。パパは必ず迎えに来てくれるわ」抱きしめて泣くマーサにリナは心を開いた▼マーサはリナの父親を探す唯一の手がかりである、イタリアからの手紙をマリオに見せ、イタリア語で手紙を書いて投函していた。ある日マーサの部屋を見知らぬ男が訪ね、リナの父親だと名乗り、イタリアに引き取りたいという。マーサはリナの荷物をまとめ送り出した。マーサにすればやっと一件落着、リナにすれば夢に見た父親が迎えに来てくれたのだ。でも心なし、二人はしょげている。「元気でね。私の天使」「マーサもね」抱き合って別れ、マーサはリナの乗った車を追いかけて走っていく。職場に戻ったマーサはいつもの覇気がない。機嫌も悪い。マリオに当たり散らし、ついにこうだ。「シェフ、7番の客が、レア・ステーキがなっていない、レアを知っているのかと…」マーサは何かをつかみ厨房を出て、まっすぐテーブルに。客の目の前に生肉をドサッ。「塩でも降って食べるのね」と言い捨てた▼マーサはその足でマリオを訪ね、力を貸してくれと頼む。二人は車で出発する。アルプスを越えて行く先はイタリア。「戻ってくれるかしら。リナは私に似ているの。内気でなかなか心を開かない」「リナは君が好きだよ。知っていたかい?」散々気を揉ませたあげく、監督はここから先、おもいきり映画をハッピーにする。マーサはリナをハンブルクに引き取り、マリオと結婚する。リナはマーサの姪であり、娘であり、妹であり、本当の家族となった。マリオは迷いなくドイツでの暮らしを選ぶ。二人は毎日自分たちのレストランで腕をふるうだろう。美味しい料理がどんな時も家族の気持ちを温かく、和やかに、やさしく結びつけるだろう。これは人の心を救う、料理神話の映画です。マルティナ・ゲデックが骨太で一途な、生粋のゲルマン女子を、セルジオ・カステリットが愛に溢れるイタリア男を、彼が頬張るパスタのシーンは、今すぐにでも「食いたい!」と飛んで行きたくなる、あるいは台所でフライパンをつかみたくなる名場面です。2002年ドイツ映画賞最優秀女優賞受賞(マルティナ・ゲデック)。同作品賞ノミネート、2002年クレイユ国際女性映画祭最優秀作品賞受賞。