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特集「頑張るドイツ映画と女性監督」

2018年4月25日

特集「頑張るドイツ映画と女性監督2」⑦
リトル・ウィッチ ビビと魔法のクリスタル(2002年 劇場未公開)

監督 ヘルミーネ・フントゥゲボールト

出演 シドニー・フォン・クロージック/カッチャ・リーマン/コリンナ・ハルフォーク/モニカ・ブレイブトロイ

シネマ365日 No.2460

ドイツ映画界のキラ星

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母親のバルバラ(カッチャ・リーマン)は魔女、娘のビビ(シドニー・フォン・クロージック)も魔女です。人命救助の功績により、本来なら15歳にならないとその資格がない、魔法のクリスタルを12歳で与えられる栄誉に浴した。ドイツのベストセラーの絵本を女性監督のヘルミーネ・フントゥゲボールトが映画化しました。日本ではあまり知られていませんが、「交際欄の女」があります。男を騙して稼ぎまくる女三世代の行状記。監督はユーモアのセンスを本作でも発揮しています。母親は大変な名誉だと娘の抜擢を喜ぶが、パパは苦い顔。魔女と結婚したばかりに人間社会から特殊な目で見られる。しかも妻は魔法を使ってなんでもスイスイやってのける。面白くない▼魔女社会の幹部の一人、ラビア(コリンナ・ハルフォーク)は、小娘にクリスタルなんてやりすぎだと異を唱えるが魔女議会の議長ヴァルプルギア(モニカ・ブレイブトロイ)が決めたことに盾突けない。ビビがもらうはずのクリスタルを故意に取り落として割ったところ、自分のをビビに譲ることになってしまった。取り返さずにおくものか。策略を巡らし、家庭不和、家族離散を目論んだ。パパは妻に魔女をやめろと迫り、妻はやむなく魔女引退を表明する。やれやれ、魔女世界でも妻は夫を優先させねばならない。能力のある女はどこにいようと男に嫌がられるのか…でも監督はそうはさせない。力には力で返せ。意地悪なラビアが墓穴を掘り、ママは魔女世界に復帰、娘と一緒に再び箒に乗って空を飛び回る。お子様向けファンタジー以外の何物でもありません。ですが、ほじくってみると本作はただならぬ布陣です。悪魔女に扮したコリンナ・ハルフォークがいい。「悪はいつも強くしたたか。魔女の叫びを聞け!」きっかりしたシャープな目鼻立ちが悪魔女によく似合う。「パヒュームある人殺しの物語」「素粒子」の佳品があり、「ヒトラー〜最後の12日間〜」のゲッペルス夫人は鬼気迫るものがありました▼議長のモニカ・ブレイブトロイは「四分間のピアニスト」で女囚の才能を見抜き、コンサートに出場させるため刑務所で特訓を施す、ヒューマンなピアノ教師を。彼女の息子がモーリッツ・ブライトロイです。彼がまたドイツ映画界で特筆モノ存在。「素粒子」でベルリン国際映画祭男優賞。「ミケランジェロの暗号」で主役、「ソウル・キッチン」準主役、「黄金のアデーレ」ではグスタフ・クリムトそっくりに。カッチャ・リーマンは、あげるときりがありませんが「アグネスと彼の兄弟」「帰ってきたヒトラー」「生き写しのプリマ」「ローゼンシュトラッセ」「もう一人の女」など、ドイツ映画界を代表します。いちばんカッコよかったのは「バンディッツ」のリーダー、エマかな。プロのミュージシャンである彼女のドラム、サイコーだった。ことほどさように、そのつもりで見ると見応えのある映画です。なんだろ、これ。キラ星のような俳優がこぞって集まるなんて。彼女ら自身も楽しんでいましてけど、それはそれとして、監督にきっと人望があるのね。