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特集「B級映画に愛をこめて」

2018年5月1日

特集「B級映画に愛を込めて8」①
アンダーテイカー 葬る男と4つの事件(2009年 日本未公開)

監督 ティモシー・リン・ブイ

出演 エディ・レッドメイン/ジェシカ・ビール/フォレスト・ウィテカー/パトリック・スウェイジ

シネマ365日 No.2466

生きるなら生きろ

B級映画に愛を込めてⅧ

アンダーテイカーって葬儀屋のことね。原題は「POWDER BLUE」よ。全然関係なかったけど。芸達者ばかりを集めて、よくこれだけつまらない映画になったものね。覚えているのは、ストリッパーになったジェシカ・ビールのポール・ダンスくらいだわ。ボディじゃないと思う。彼女、しっかり練習して迫力と見応えがありました。でもそれだけ。オープニングでパトリック・スウェイジが派手なタトゥーのある背中を見せて海に入っていく。大きな波をかぶる。それだけ。クリス・クリストファーソンがバスの乗客の一人として、最初にチョイと顔を出す。それだけ。キミはなんのために出てきたのだ。初めから終わりまで主役級の4人は大笑いもせず、号泣もせず、ボソボソとささやくか薄い微笑を浮かべすすり泣くのだ。「4つの事件」とあるけど、事件らしい事件なんかない。詐欺に近い邦題よ▼ジャック(パトリック・スウェイジ)は長い刑期を終え出所した。妻も娘も彼から去り、迎えにも来ない。チャーリー(フォレスト・ウィテカー)は牧師だ。愛する彼女を交通事故で失い生きる気力も目的もなくした。全財産5万ドルやるから自分を殺してくれと頼んで回る。ローズ(ジェシカ・ビール)は植物状態の幼い息子が病院にいるストリッパーだ。クワーティ(エディ・レッドメイン)は葬儀屋だ。父親のこしらえた借金を抱える。丁寧に遺体処理をし、人形劇が趣味だ。娑婆に出たジャックはクラブでローズと知り合う。父親のようなジャックのやさしさに、つかの間ローズは安らぎを覚える。チャーリーは男娼に殺してくれと頼むが断られる。クワーティにも断られる。いつも深夜に行くダイナーの中年のウェイトレスがチャーリーを慰めるが、彼の心の傷は癒えない。行方不明になったローズの愛犬をクワーティが家に連れて帰る。張り紙でローズが犬を探していることを知り、返しにいって彼女と知り合う▼ローズの息子はあっさり死ぬ。クワーティとローズは相寄り結ばれる。チャーリーはウェイトレスを受け入れる。ジャックはローズの息子の治療費を払い、雪の夜凍死する。有り金5万ドルを盗まれたチャーリーは、犯人の男娼の部屋を突き止めるが、怒る気になれず手術代を出してやると言う。でも男娼はピストル自殺する。みな弱々しいのよ。登場人物が揃いもそろってメソメソ、ジメジメ。孤独な魂が寄り添い、自分の生きる場所を見出して愛と希望を捨てず、再出発するという物語なのでしょうけど、チャーリーなんか、お前、本気で死ぬならさっさと死ねよ、と言ってしまいそうだし、生きるなら、ウェイトレスが気を利かしておごってくれたケーキくらい、うまそうに食ってやれよと思う。ローズの息子があっさり死んでしまうのもあっけない。ジャックは自分の死期が近いのを知っている。ローズを喜ばせてやりたいが、二言目には自分から年の差ばかり言わせて彼をも死なせてしまう脚本は、クワーティとの恋が後に控えているからか。チャーリーやローズのせっかくの幸福が、リアリズムでもなくファンタジーでもない。陰々滅々と引きずってきた運びが最後までたたり、散々愚痴を聞かされた後に下手な冗談が出て、笑えといわれたみたい。