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特集「B級映画に愛をこめて」

2018年5月3日

特集「B級映画に愛を込めて8」③
ワイルドカード(2015年 アクション映画)

監督 サイモン・ウェスト

出演 ジェイソン・ステイサム/マイケル・アンガラノ/アン・ヘッシュ

シネマ365日 No.2468

どこがワイルド?

B級映画に愛を込めてⅧ

サイモン・ウェストの監督だとは思えない。「コン・エアー」のダイナミック、「将軍の娘/エリザベス・キャンベル」の繊細、「トゥーム・レイダー」の華麗、それらはどこへ行った? しかも主演はジェイソン・ステイサムですよ。これで満足したジェイソン・ファンがいたらどこが満足だったか教えて欲しい。ジェイソンは元腕利きの特殊部隊のメンバー、今は酒とギャンブルに溺れるラスベガスの用心棒ニック。落ちぶれてもいいですよ、ピカピカだけが男の魅力じゃなし。でもな〜、どこか違うのよね。だいいち、アクションの見せ場が少なすぎる。ニックはベガスから出ていきたいと、50万ドルの元手をギャンブルで稼ぐが、ベガスに居続けてしまう意志の弱い男なのだ。こ〜ゆ〜設定がそもそもジェイソンに適切なのだろうか。弱みを見せて絵になるのは、いい年をしていつまでも女たらしのリチャード・ギアとか、トチ狂ったジョン・マルコヴィッチとか、若手では目尻の下がったライアン・ゴズリングとか、年齢にかかわらぬ微妙な線の細さを感じさせる俳優だと思う▼もちろん、よく見ればジェイソンの眉間にぎゅっと縦ジワを寄せたハードボイルドな横顔もいいですけど、縦ジワとなるとアラン・ドロンという天下無敵の「眉間のシワ」がいますから、ちょっとやそっとでは太刀打ち出来ない。やっぱり泣く子も黙る豪快なアクションを堪能させてこそ、ファンは快哉を叫ぶ。ジェイソンに胸を締め付けるラブシーンを、へ、誰が期待するだろう。しかるに本作はおとなしいのだ。人生に悩んでさえいるのだ。それにアン・ヘッシュがダイナーのウェイトレスとか、なんであんたがここにいるの、といってしまいたくなるミス・キャストではないか。前半は元カノに頼まれた復讐で始まる。乗りかかった舟だからケチつけまくるけど、元カノの頼みをシブシブ引き受けてやるのよ。女が人相変わるほどブチのめされレイプされ、病院でうわ言にニックの名を呼んだのに、ですよニックは拳銃を使わない。素手あるいは灰皿とか、フォークとかそのあたりのもので応戦する。デンゼル・ワシントンの「イコライザー」から、この手の武闘タイプが多くなった気がする。ニックは元カノの復讐を果たしてやり、「君はこの町を去れ」というのがほぼ前半。女はその後ウンともスンとも出番なし。なくてもいいようなものだけど尻切れとんぼは否めない。ニックはサイラス(マイケル・アンガラノ)という青年と知り合う。彼はニックをギャンブルの師と仰ぐ。これも珍しい設定じゃないけど、例えば「ミリオンダラー・ベイビー」で、人生の最後のチャンスに賭け、クリントに弟子入りしたいと粘るボクシング女子と、彼女を教える師匠クリントみたいな哀感もない。何も考えなくていい映画を見るために本作を選んだのに「ニックはいつ行動するのだろう、能あるタカなのだ、きっと今に華麗なるアクションを見せてくれる」そう期待した自分が今となっては恨めしい。あの危険な男だけは相手にするなと言われたマフィアのボスが、簡単にボコボコになってしまうし。サイモン・ウェスト監督は途中で気絶でもしていたのだろうか。それでも二、三箇所はニックの見せ場があるもののすぐ終わる。マイケル・アンガラノがソフトでがっぽり儲けた若き天才という役をひょうひょうと演じていた。これくらいの遊びなら許せる。ニックは改めて人生を変えるべく決意する。どこで何をするのか不明。そうそう、ソフィア・ベルガラがチョイと出演しています。彼女はこのあとリース・ウィザースプーンの「キューティコップ」で共演、女子警官と麻薬王の妻とのロード・ムーヴィーで弾けていました。アン・ヘッシュといい、ソフィア・ベルガラといい、よく言えば贅沢な使い方だったわね。