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特集「ザ・クラシックス」

2018年5月10日

特集「ザ・クラシックス6」⑤
芽生え(1958年 青春映画)

監督 アルベルト・ラットゥアーダ

出演 ジャクリーヌ・ササール

シネマ365日 No.2475

青春のササール

特集「ザ・クラシックス6」

ジャクリーヌ・ササールのデビュー作。当時猫も杓子もジャクリーヌ・ササールを褒めちぎっていた記憶があります。見直してみてギョッとした。いきなりアップでササールが映るのですが、目と目の間が離れ、大きな瞳は焦点が定まらず、セリフは棒読み…無理ないよ、彼女は16歳で映画界の右も左も知らなかった。はち切れる若さと小鹿のような脚がと言いたいが意外と太い脚で、吉永小百合さんを彷彿とした。おまけに主役のグェンダリーナ(原題、これがササール)が、こんな女だけは友達にしたくないというイヤな性格なのだ。彼女は金持ちの親の別荘に、夏のバカンスできたお嬢さん。地元の高校生たちからチヤホヤされる女王さまで、彼女の一声で男子たちは先を競って動く。海辺の夏は開放感あふれ、まばゆい太陽の下とくるから、誂えたような初恋ものです▼オーベルタンがクェダリーナに恋心を抱く。中流家庭の息子で、アルバイトしながら建築技師になろうと勉強し、難聴の姪のために補聴器を買ってやろうとする真面目なやさしい子だ。グェンダリーナには実業家の父と理知的な母がいる。ラフ・バローネとシルヴァ・コシナである。ピーピー、ヒヨコみたいにしゃべる若い俳優だけでは場持ちができないからだろう。ラフ・バローネの「橋からの眺め」のがっしりした背中、遺作となった「ゴッドファーザーⅢ」の枢機卿など、忘れがたいシーンを残す人。シルヴァ・コシナはナポリ大医学部出身の異色の女優で、ピエトロ・ジェルミに見出され「鉄道員」の長女が出世作になった。グェンダリーナの両親は離婚協議中だ。不安定な両親の間で、感じやすい思春期の娘が、徐々に大人の世界に入っていく。ササールが一人で海を泳いでいるとか、ササール・ルックの代名詞になった黒いタイツ姿とか、定番とはいえ、やはり目をそばだたせる▼グェンダリーナがあまりつっけんどんなので、オーベルタンは悪友たちにけしかけられ、童貞を捨てるのだが、それをいちいちグェンダリーナに報告する。グェンダリーナはショックで態度を改め、二人はめでたく相思相愛の恋仲となる。面倒臭い映画ね。父と母は和解(これも都合が良すぎるが)、父はロンドン支店長に栄転、別荘のある避暑地、ヴィアレッジョを離れることになる。列車の窓からオーベルタンを探すグェンダリーナ。もちろん彼は全力疾走で走ってくるのだが、遅れたのは寝過ごしたからだ。締まらんやつだな。列車はゆるゆる発車。定番の別れのシーンだ。本作の4年前、「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーンは日本の映画ファンをなぎ倒していた。彼女のモンスターのような出現を思うと、ジャクリーヌ・ササールはあどけなく可愛く、でも充分頑張っていたから、いいじゃない。