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特集「美しい虚無-妄想映画の魅力」

2018年5月18日

特集「美しい虚無=妄想映画の魅力7」⑦
プラネタリウム(2017年 事実に基づく映画)

監督 レベッカ・ズロトヴスキ

出演 ナタリー・ポートマン/リリー=ローズ・デップ/ルイ・ガレル

シネマ365日 No.2483

暗闇でしか見えないもの

特集「美しい虚無=妄想映画の魅力7」

所々ピカッとしたセリフがあって、それがイマイチまとまりのよくないこの映画を救っていた。たとえばこれ「くらやみでなければ見えないものがあるわ」。主人公はアメリカ人の霊媒師姉妹、ローラ(ナタリー・ポートマン)とケイト(リリー=ローズ・デップ)です。アメリカに実在したスピリチュアリズムの先駆者フォックス姉妹と、フランスの映画プロデューサー、ベルナール・ナタンがモデルとされています。時代は1943年、姉ローラの回想で映画は始まります。「私はキツイ女だと思われ人に好かれにくいの。苦しみの感情を抱くのが遅いしね。本当のわたしは傷つきやすく愛情を求めている。あのパーティを覚えている?」いきなりローラの性格描写ですが本筋にあまり関係ないし、どことなく説明的です。妹ケイトは霊感が強く、妹の呼び出す降霊会をローラが仕切る、つまりプロデューサー兼マネージャーです▼そのパーティでローラがスピーチしている「私たちが見せるのはみなさんが失ったもの。若い国アメリカから来るとヨーロッパは墓地のように見える。そう思うと私たちがいる地面の下には生者の10倍、100倍もの死者が眠っている。彼らは何が言いたい?」。姉妹の降霊会を体験した映画プロデューサーのコルベンはベタ惚れして、世界初の心霊映画を撮影しようと決めた。降霊した霊をフィルムに収めるのだ。姉妹を自宅の屋敷に住まわせる。コルベンは私的なセッション(降霊会)を屋敷で行い、コルベンは光悦状態でエレクトする。ケイトはコルベンが降霊させたのは女性ではなかったと言います。男優のフェルナンド(ルイ・ガレル)が「コルベンの家に一緒に住んでいるって同棲かい?」「そうよ」と答えるローラに「彼と棲むのは妙だね」。コルベンはゲイなのです▼撮影は無残な失敗に終わります。オーラを撮影するためにケイトを超常現象研究所に連れて行き、体に害を及ぼすほどの電磁波をあて、撮影したもののフィルムにはモヤモヤした影があるだけ。ケイトは倒れてしまい白血病と診断されました。ローラは女優に転身し、ロケ地にいました。姉妹が離れて暮らしたのはこれが初めて。いつも顔を見て話していたので、電話の声を聞くのさえ妙な感じです。コルベンはユダヤ人だということがわかりフランス国籍を剥奪され、ポーランドに強制送還されます。ケイトは死ぬ。ローラは一人、女優としての端役から再スタートを切ります▼ロケ地を訪ねてきた妹を見たとたん、ローラは走り寄って抱きしめる。寂しくて仕方なかった。二人は離れるべきではなかった。道を分かつべきではなかった。強烈な電磁波など浴びなければ、ケイトは健康なまま、優秀な霊能師としてその道を極めたでしょう。ローラも口のうまいマネジメントで成功したはず。不幸なことに姉妹はお金に困っていたし、異国のフランスで映画のサクセス話に出会って、進む道がおかしくなってしまった。ジョニデ娘は、おっとりしたというか、ぼんやりしたというか、シャキシャキした姉の影にいつも引っ込んで、姉を頼りにしている妹です。なぜかコルベンが好きになって、えげつない撮影に付き合ったのが運のツキ。考えても首をひねりたくなる、いかがわしい話を真に受けた姉もカンが狂ったとしか言いようがない。二人が見たのは、プラネタリウムのような、暗闇でなければ見えない束の間の美しい虚無だった。痛ましい。ナタポーは気の毒なくらい見せ場がなかったけど、綺麗な顔だからもっています。ルイ・ガレルときたら何のために出てきたの? キャリアが泣くわよ。