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特集「最高のビッチ」

2018年5月24日

特集「最高のビッチ6」④エリザベス・テイラー1
いそしぎ(1965年 恋愛映画)

監督 ヴィンセント・ミネリ

出演 エリザベス・テイラー/リチャード・バートン/チャールズ・ブロンソン/エヴァ・マリー・セイント

シネマ365日 No.2489

さわらぬ神に…

0521_25最高のビッチ6

エリザベス・テイラーとリチャード・バートンの結婚後初共演。リズが33歳、バートンが40歳、脂の乗り切ったときの作品。ですが、肉食獣二頭が咆哮するような二人ですから、今からこの映画を見るとリズの宣戦布告みたいです。売れない絵描きのローラはカリフォルニアの海岸で9歳の息子のダニーと二人暮し。学校にやらないのは「教師が無能だから。私が自分で教えます」。裁判所は牧師でありカトリック学校の校長エドワード(リチャード・バートン)に預けるよう命令を出す。リズが初めてバートンに会うシーンですが、大好きな薄紫色のブラウスを着てふらりとドアから入ってくる。あたりの酸素が一瞬で濃くなるような女優です。大阪弁でいう「コテンコテン」である。隣に置かれた物や人の印象を吹き消してしまう▼エドワードは一目惚れ。敬虔な妻クレア(エヴァ・マリー・セイント)と息子二人がいるにもかかわらず不倫へ一直線。ローラは中西部のいい家の出の娘で、金持ちの息子と17歳で妊娠した。求婚を断り親が中絶をすすめると家出、子供を連れロスで放浪しているときパトロンと巡り会い、美術学校に行き、彼と別れ海辺の家に住み着いた。彼女は牧師に「信仰は人を滅ぼします。神を信じている限り地上に平和はない。私は未婚の母。息子は社会に順応させない。学校教育で洗脳なんかさせないわ」「君は人生から男を締め出しているのか」「12のときから見つめられ、つけ狙われたわ。男はただ、モノにするだけ」「本当に愛してくれる人を見つけるべきだ」「私のような女を愛してくれるかしら」牧師は女を見つめ「君が欲しい」あらあら。妻に3日間出張するといい、誰もこない海岸で過ごす。「君は人生に何を求めている」「ダニーを育てること。自分を知り、自分でありたいこと。だから八百長の結婚なんかしているヒマはないの」8回も結婚しといてよく言うよ▼でもここはローラの主張を聞こう。「20歳になるまで女の子は男の子と同じ学校に通い、同じ授業を受け、同じ世界に住む。男女平等でないなど夢にも思わない。でも結婚したらどう? 男は仕事の世界に入り、女はタダ働きの召使い」エドワード「家庭にいる女性が全てみじめとは限らない」ローラ一言のもとに「満たされないのよ、女は。男は父であり夫であり、博士(エドワードのこと)でもある。女は母親であり、妻であってそれ以外の何物でもない。子を産み、妻が満たされていないとしても知らん顔よ」「誰のせいだといいたいのだ」「男社会の全員よ」。ヴィンセント・ミネリ監督はライザ・ミネリの父にしてジュディ・ガーランドの夫。ハリウッドの内幕ものの傑作「悪人と美女」や、18歳のリズで「花嫁の父」を撮っています。言いたいことを言わせるのがリズには似合うことをよく知っています。夫とローラの関係を知った妻は「子供は手を離れ、雑用や手伝いに追われたこの歳月はなんだったの」。夫は「蔑むかもしれないが、君も愛しているのだ」調子いいわね▼ローラは海岸の家から離れようとしますが息子は「学校で友達もできたし、ここにいるのがいい。ママがいなくても平気。一生、一緒には暮らせないよ」早々と別居宣言。「みな自由に飛ぶのね」ローラはつぶやく。エドワードは学校を辞める。エドワードの校長辞任のスピーチは妻にもローラにも謝辞を述べるというお見事な内容ですが、彼は地方の牧師職に去り、どっしり残るのは妻にローラですから、エドモンドは、はじき出されたみたいな構図です。チャールズ・ブロンソンが地元の彫刻家になり、ローラが好きだけど「さわらぬ神にタタリなし」友情にとどまるという、賢明な男を演じます。大悲恋にして格調高いメロドラマでした。