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特集「最高のビッチ」

2018年5月27日

特集「最高のビッチ6」⑦ノオミ・ラパス2
ミレニアム2 火と戯れる女(2010年 ミステリー映画)

監督 ダニエル・アルフレッドソン

出演 ノオミ・ラパス/マイケル・ニクヴィスト

シネマ365日 No.2492

モンテ・クリスト的女子 

最高のビッチ

劇中くどくど説明されていないのですが、リスベットは2600万クローネ(約4800万)の超豪華マンションを即金で購入できる資力があります。前作「ミレニアム1」で、ミカエルをはめた実業家の全資産を自分の口座に移し替えました。莫大な現金が彼女の口座にある。億ションなどちょろいものだ。リスベットの尽きざる資力とは、彼女の行動力とパーソナリティを理解するうえで、最重要な要件です。お金の心配を一切しなくていい人生である。人の顔色も伺わなくていい。生活のためにいやな仕事を我慢する必要もない。気のあった女の子と寝て、史上最高のハッカー・クイーンとなるのも悪くない▼「モンテ・クリスト伯爵」を考えてみよう。主人公エドモン・ダンテスのカリスマは、いつにかかって彼の無限の資力によるものではなかったか。孤島で発見した財宝をバックに、彼はパリ社交界に彗星のごとく現れ、謀略によって自分を牢獄に閉じ込めた悪党たちに、火のような復讐を開始する。「ミレニアム2」は、復讐の古典「モンテ・クリスト伯」の血統を脈々と受け継いでいます。リスベットの行動が「疾きこと風の如し」であるのも、いちいち所持金の残高や月末の家賃の支払いを気にしなくていいからである。パートナーに留守番を頼むときは、1年分の家賃を前払いする。彼女の資金力が、それでなくても生本来、俗事を超越しているリスベットのキャラを決定的にします▼こういうシーンがあります。母親の墓の前に来て「やっと復讐するわ」と告げる。12歳のときに父親にガソリンをぶっかけ焼き殺そうとしたが未遂に終わった。言い換えれば(今度こそ殺せるよ、ママ)ということです。何事も水に流すことを美学とする、日本人の淡白な感覚でついていくのは難しい。父親はときたまリスベット母娘を訪ね、暴力で母親にセックスを強要した。母親が精神を病み、病院から一生出られなかったのは父親の虐待による。リスベットもこの未遂事件により精神病院に入れられ、12年間監禁される。なぜ12年間も、という理由は「ミレニアム3」で明らかになります。リスベットにとって父親とは殺しても飽きたらぬ存在だった。再会した娘に父親は「お前の母親は淫売だった」と嘲笑する。リスベットは「ちがう。母さんはスーパーで働いて私を養ってくれた」と言い返します。母親がスーパーの店員か、掃除婦をして細々と食べさせてくれた貧しい生活を、リスベットは忘れていない。それが不意に手に入れた巨万の財力にも足元をすくわれない、健全なバランス感覚を与えています▼母親が代表する女性への虐待は、リスベットの十字架です。ロシアマフィアの幼児売買と売春の実態を暴こうとした記者が殺され、容疑がリスベットにかかったとき、ミカエルは一笑に付し退けます「リスベットが殺すはずはない。男たちへの懲罰こそリスベットの望むものだ」。自分を理解するミカエルに、リスベットは彼のパソコンに侵入して書く。「友だちでいてくれてありがとう」本作はリスベットの無実を晴らすため奔走する「友だち」ミカエルの奮戦記でもあります。ミカエルの救出によって一命を取り留めたリスベットは、検察の告発を受け、いよいよ裁判に、彼女の過去の総決算というべき天王山に臨みます。