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特集「最高のビッチ」

2018年5月31日

特集「最高のビッチ6」⑪ジェシカ・チャスティン2
女神の見えざる手(下)(2017年 社会派映画)

監督 ジョン・マッデン

出演 ジェシカ・チャスティン/マーク・ストロング/ジェイク・レイシー

シネマ365日 No.2496

一人で歩く女

最高のビッチ

争点は銃規制強化法案を通過させるか、させないか。スコーン(ジェシカ・チャスティン)はロビイスト業界のトップ企業コール=クラヴィッツ&ウォーターマンに属する。社の大得意はライフル製造会社だった。銃規制強化など滅相もない。法案通過を阻止しろ。大役がスコーンに回ってくるが、彼女は銃規制強化こそアメリカに必要だと主張し、部下を引き連れ規制強化のキャンペーンを張る、名もない小さなシュミット社に移ってしまう。CEOがマーク・ストロングだ。彼の知的な容貌を、ハリウッドのハゲ萌えナンバーワンと、わたし位置付けています。法廷ではジェシカの私生活が暴かれる。彼女は時々ホテルで男を買う。フォード(ジェイク・レイシー)という男娼が二度続けてやってくる。「またあなた?」といいながらスローンは事をすませるが、ストレスがたまりどうしてもその気になれない日があった。金を渡すと「何もしていないからいい」と男は断る。時間を使わせたから受け取っていいのよとスローン▼彼が敵側の証人になって召喚された。どうせわかることだから、とスローンは覚悟を決める。ミス・スローンは君の客か、と訊かれたフォードは見たこともないと否定する。理由なんか監督はくどくど喋らせません。この道にはこの道の仁義がある。客のプライバシーなど口が裂けても言ってはならぬ、それが掟だ。出番こそ少ないが、ジェイク・レイシーは役得でした。「君のねじれた思考は生まれる前からか、君がまともだったことはあるのか」とシュミット社長にまで言われるスローンです。彼女の最終弁論が本作のクライマックスです。「他人への敬意を失い境界を超えたことを認めます。私はマスコミ、および聴聞会によって米国民主主義の寄生虫と批判された。自分のキャリアのためだけ銃規制を強化する闘いを展開していると。人は時に自分のためでなく、心から正しいことだと信じて何かをします。でもそれだけが動機ではないことも確かです。キャンペーンの話が来た時勝ちたいという願望から仕事を引き受けた。自分の行動が倫理基準を満たしていないことは明らかです。勝利への執着から一線を超えました。最も自分に近い人を裏切ったうえ、命を危険にさらした。彼らは大きな犠牲を払い正しいと信じることを行ってきた▼答弁は続く。「でも良心に従って投票する政治家は報われない。利益を生むのは卑劣なネズミ。このネズミこそが米国民主主義を蝕む本当の寄生虫です。私は予想していました。私のロビー活動がうまく展開した時、私への個人攻撃が始まるだろうと。コール=クラヴィッツ社を辞めた時、私の部下を残してきました。クラヴィッツ社の重要人物に監視をつけ、彼が密談した人物は道徳的に破綻しており、企業と結託しています。その人物はロナルド・スパーリング上院議員であり、銃規制強化反対派に抱き込まれた、目の前に座っている人です」。ロビー活動とは敵の動きを予測し、対策を考えること、敵が切り札を使ったあと、自分の札を出すこと。決まりね。スローンの切り札はジェーン。スローンの一の部下で、彼女こそスローンと行動をともにすると誰もが信じていたが残り、内側からスローンに情報を提供し、社内では偽情報を流し、敵を操った。スローンの悪知恵の一つは「ゴキブリ盗聴器」だ。メカの達人に作らせたもので、ゴキブリのヒゲに電極をつけ、腹部に穴を開け遠隔操作する。ドアの下、隙間、バッグ、どこにでも潜り込めエサなしで数週間働く…10カ月後、スローンは刑務所にいる。ロビイストの倫理規定違反による5年の実刑判決を受けたが、訴えた敵側も自滅したから、4、5カ月で出られるだろうと弁護士が言う。スローンはひっそりと出所する。誰かが迎えに? そんな甘いシーンはこの女に似合わない。監督はこう言っているようだ。「君はここから一人で歩くのだ」