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特集「サイコパス」

2018年6月2日

特集「サイコパス」② ジェニファー・ロレンス2
マザー!(下)(2017年 ホラー映画)

監督 ダーレン・アロノフスキー

出演 ジェニファー・ロレンス/ハビエル・バルデム/エド・ハリス/ミシェル・ファイフ

シネマ365日 No.2498

すべては煉獄の中に 

サイコパス

監督の意図は、ジェニファーは「地球」、ハビエル・バルデムは「神」、ぞろぞろ侵入してくる男女、エド・ハリスとミシェル・ファイファーはアダムとイヴ。彼らの息子はアベルとカインの隠喩だそうです。「地球」は「アダムとイヴ」つまり人類とその末裔によってメタメタに荒らされます。ジェニファーが精魂込めて仕上げた家は、侵入してきた狼藉者たちが破壊し、「あなた、あの連中を追い払って」と妻が叫んでも「彼らは私と話をしたがっているのだ」と詩人の旦那はお気楽なことをいい、荒らし放題にさせている。殺人まで起こりブチ切れたジェニファーが家に火を放ち、すべては灰塵に帰す。冒頭に出てくる炎をバックに茫然自失しているのはジェニファーです。ハビエルは、自分の詩のファンだというエド・ハリスを妻に断りもせず家に入れ、翌朝やってきたミシェル・ファーファーという図々しい女と、その一族をも歓待。愛していると言いながらやることは妻をこき使うだけ。地球だ、環境だ、神だとややこしい隠喩なんか必要ない、明快によくわかるわ、苦労するのは女、それも善良な女で、ミシェル・ファイファーはアバズレ、エド・ハリスは無能のホームレス、どやどや踏み込んでくるのは、精神病院淫乱病棟の脱走集団よ。ジェニファーは赤ん坊を産むのですが、これは詩人の子だ、触るとご利益があるとばかり、狂気の一団は赤ん坊を担いで火に放り込む、これじゃ公序良俗を旨とする日本では、上映がためらわれたはずね。あげくの果てに「神」だとされるハビエルは、息のあるジェニファーの胸を割き心臓を取り出すとポイと火中に投じる。すると心臓は綺麗なクリスタルに変貌した。男はそれを家宝として、またどこかの女を見つけ、家を再建させ、スランプだ、詩が書けないとグダグダ言いつつ、宗祖みたいに奉られ、女を見殺しにして心臓を火にくべるのね。この循環が現代に至っているというコワイ映画だわ。ハビエル・バルデムのコテコテのアブラ顔、エド・ハリスは役作りで減量したのでしょうか、懐中電灯で探さなければわからないほど目が奥に落ちくぼみ、哀れっぽく一夜の宿を乞う。そのくせ女房と合流すると、他人の家の寝室でセックスするようなイケ図々しさ。ミシェル・ファイファーはワルをやるとよみがえることおびただしく、触らぬ神にタタリなし、という女にぴったりでした。かわいそうなジェニファー。なぜいつもあなただけが厄病神にまといつかれるの。でもこれが「地球」だとすると、ぞっとします。世界は煉獄に投げ込まれ焼きつくされるという業火の物語…ダーレン、それが狙いか!