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特集「サイコパス」

2018年6月6日

特集「サイコパス」⑥ バーナビー・メチュラート
アナトミー2(2003年 劇場未公開)

監督 ステファン・ルツォヴィツキー

出演 バーナビー・メチュラート

シネマ365日 No.2502

秘密結社の人体実験

サイコパス6-10

ショッキングなオープニングです。解剖学の権威、ラルース教授のパーティに、助手ベニーが現れる。目が座り汗を滲ませ普通ではない状態だ。彼がシャツを引きむしると、左右の上腕に縦一文字、胸筋に横一文字のメスの痕。「見てくれ。ボロボロだ。痛みを感じないよ。生きていけない」そして心臓にメスを突き立てた。遺体を解剖した医師リヒターは同僚に告げる。「ベニーの血液から大量の神経コリンが見つかった。殺人かもしれないぞ。教授にも報告しないといけない」。彼はそのすぐ後オペだと呼び出され鈍器で頭を一撃、病院に収容されるが回復の見込みはない。地方都市で医学を志すヨー(バーナビー・メチュラート)は、弟の筋萎縮症を治すため医師を志し、ベルリンの大病院に研修医として入ることに。ラルース博士を先頭にした大名行列が壮大に院内を練り歩いていた。ヨーの担当教授は謹厳なシンダー教授。規律を重視するシンダーに違反したヨーはラルースに呼び出され、思いがけず彼の主催する勉強会に勧誘された。講師は外部から招き、次回は神経医学でノーベル賞受賞の教授が来る。ヨーは舞い上がってしまう▼ラルースは人工筋肉でノーベル賞を狙っていた。彼らのグループは「AAA」(アーゲ・アキタービリ・アンチヒポクラーテ)。新しい研究のためには、医療の倫理とルールは無視してもよし、という「なんでもあり」のグループ。「性能を400%アップさせる人工筋肉」が研究テーマだ。ラルースは弟の病気を治すためにも頑張れとヨーを激励する。しかしグループの一人、スヴェニーは「ベニーは自殺じゃない。君も危ない」と忠告する。シンダー教授も「倫理に反する実験は許されん。医師の魂だけは売るな」と謎のような言葉を告げる。神経移植の天才ラルース教授の身辺には闇が立ち込めていた。そこへ連邦刑事庁組織犯罪課の調査員、パウラ・ヘニングがAAAの組織犯罪を立証するため病院に送り込まれた▼折しもノーベル賞はイギリスのロイヤル・アカデミーが受賞し、ラルースは「先を越された」とカンカン。次は何としてでも取ると成果の公表を急ぎ、実験スピードを倍速した。やがてグループの研修医たちに妙な症状が現れ始める。彼らは過激な実験のストレスに耐えるためドラッグを常用し、人工筋肉に伴う薬物の副作用で、意志をコントロールできなくなっていく。院内で研修医殺害が相次ぐが、巧妙な操作でそれらは自殺と処理された。ヨーは体の筋肉をすべて人工筋肉に取り替える実験に処せられそうになる。危機一髪実験台から脱出したヨーを救ったのが、フィリピンから医療機器と看護の研修に来た医師、リーだ。ステファン・ルツォヴィツキー監督は前作「アナトミー」に続く登板。本作の後に佳品「ヒトラーの贋札」が続きます。スリリングな筋立ては監督の得意とする技で、本作もスピーディに切り替わるシーンの転換で、ひっぱり具合よし。ラルースは医療に名を借りた新人類創成という、とんでもない野望を抱いた秘密結社だった。ラルースは「せめて先生の名誉だけは守ります」という門下生によって殺される▼ところが最後に大物が残っていた。病院の院長、バンベルク女史だ。「不名誉な輩は一掃された。医療の発展に寄与する研究のための勉強会を開きたい。切磋琢磨するメンバーを募っている、シンダー先生、是非ご参加を」。シンダー教授は感激して申し出を受けるのだ。先生「魂だけは売るなよ」。よくまとまったエンタメです。