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特集「サイコパス」

2018年6月7日

特集「サイコパス」⑦ ミーシャ・バートン
サイコパス地下戦慄(2015年 劇場未公開)

監督 マット・ウィン

出演 ミーシャ・バートン/エミリー・アタック

シネマ365日 No.2503

地下の飼育場

サイコパス6-10

ミーシャ・バートンはいつの間に鉄板B級女優になったのだろう。日本で劇場未公開が多いのであまりわからないだろうけど、B級はB級なりに、案外佳品が多いのだ。ゲイの女囚とか母親の軋轢の下にいる長女とかを演じて、影を出させたらいいムードがあるのだけど、全然ブレイクスルーする気配はない。「健全な女」を歯牙にもかけないクリステン・スチュワートなんか、ウツ的なまでに難しい役にチャレンジして、カンヌの審査員をやっているのに、ミーシャは地ベタをウロウロしている。ゴシップネタにしてもレベルが低い。もう少し欲とタフネスがあればね。本作も期待しなかったけど、馬鹿らしい割に、引っ張っていく映画なのだ。タイトルからしてすごい。「サイコパス地下室の戦慄」なんて、先入観120%を与えてくれ、またそれがほぼアタリなのだミーシャはこの時29歳だった。その年にしては皮膚にツヤのない、くたびれた顔で現れる。役名はエラだ。親友のモリー(エミリー・アタック)に、婚約者が浮気しているみたいだから、貸倉庫にある彼の日記を調べに行く、と言ってゴッサムシティみたいな、荒涼とした夜の倉庫街に行く。取り返したいのは彼の日記ではなく自分の手帳だ。過去の売春相手の名前が書いてある。婚約者に見られては都合が悪い。こういう女の過去をなぜもっと描き込まないのだろう。地下室に閉じ込められた怪物なんかより、もっと怖い映画になるかもしれないのに。でも映画はヒロインの内面は素通り、定番通り親友は殺される。エラがチラッと見た犯人は「人間ではない」と確信する。貸し倉庫にいた人たちがエラの悲鳴で次々4階に集まる。ウェイン(倉庫の巡回スタッフ)、ステファン(倉庫の受付)、ラシード(アラブ系男性)、バーンズ(中年の刑事)、イアンとサラ(離婚する予定の夫婦)、ウィロウ(ドラッグ中毒の女性)。エラとイアン以外全員殺される▼見境なく襲いかかる地下室の殺人者はジェフリー。彼はでも犠牲者なのだ。真犯人は受付の男ステファン。男でも女でもチャンスさえあれば監禁し地下室で飼い殺しにする、正真正銘のサイコパスだ。ステープラー(工具用の大きなホッチキス)で口を塞ぎ、ストローで飲み物と流動食を与える。部屋の一つには実験台があり、周囲に禍々しい刃物や包丁が並んでいる。ステファンはサド男だ。イアンの妻サラも気絶しているうちに口をホッチキスされて監禁されていた。イアンは怪物と間違えて射殺するのだけど。イアンも殺された。生き残ったエラは迷路のような地下室で、脱出の出口を探す。長い梯子を見つけて必死に登り、ついに地上へ出る。鉄の蓋の隙間に取り返した手帳が落ちている。拾いあげようと手を伸ばしたとたん、ステファンが下からエラの腕を掴む。その後、ステファンはいつも通り、なにくわぬ顔で倉庫の受付にいる。エラは監禁室にいる。その口にはハンニバル博士の拘束着の牙のようなホッチキス。こんな映画ばかりなぜ選ぶのかわからない。まるで「シックス・センス」のゲロ吐き少女が憑いてしまったみたいじゃない。あの映画でミーシャは13歳だった。いい加減に、B級クイーンになるならなるで、奥のある役を選ぶキャリアは充分なはずだ。