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特集「最高の悪役」

2018年6月16日

特集「最高の悪役2」①
レディ・ガイ(上)(2018年 ホラー映画)

監督 ウォルター・ヒル

出演 シガニー・ウィーバー/ミシェル・ロドリゲス

シネマ365日 No.2512

最高の天才外科医

身長180センチ級の女優といえば誰だろう。シガニー・ウィーバー、ティルダ・スウィントン、ユマ・サーマン、シャーリーズ・セロン、バネッサ・レッドグレーヴ、ジェネット・マクティアがすぐ思い浮かぶ。今でこそ珍しくなくなったけど、シガニーやバネッサは、デビュー当時相手役に苦労した。シガニーは「イングリッド・バーグマン/愛に生きた女優」で、楽屋を訪ねたら駆け出しの自分をバーグマンは親切に迎えてくれた。彼女は堂々としていた。バーグマンは長身だ。そうだ、私だって背を屈めて歩かなくていいのだ。シガニーは少女のように感動した。シガニーの悪役好きは彼女の女優史を通底する特色で、衝撃的なデビュー作「エイリアン」にしても、前代未聞の悪のモンスターを向こうに回し、ガチ対を張るエレン・リプリーでなかったら、あれほど張り切ったかどうか、と今なら思える▼本作のジェーン医師(シガニー・ウィーバー)は、弟を殺した殺し屋フランク・キッチン(ミシェル・ロドリゲス)が、気絶している間に女に作り変えてしまうトンデモ外科医である。医師免許が剥奪されたのも、知識と経験を積むため被験者を2万ドルで買い、整形外科の実験にしたからだ。彼女の言い分は「私は医師であると同時に芸術家よ。ポーは『構成の原理』で書いているわ。真の芸術とは内なるエネルギーのみで成り立つと」内なるエネルギーがあれば、無断で性転換実験してもええんかい。これは序の口だ。「女性は神が創り給うた最高傑作よ。私は整形外科医として成功した。医学界では私のありようが反感をかった。誰よりも最高の腕を持つ私は嫌われた。女であることがさらなる反感を招いた。医師免許を失っても開業したわ(犯罪だろ!)。おバカさんたちに豊胸やペニスの増大を施した。多くの性転換希望者は、手術の順番を待ちきれず高額な手術費を払えない人たちだった。私は助けてあげたのよ。私は大学でトップの成績、病院では最高の外科医。いつも新しい手術を考え、すぐれた方法を編み出した。その見返りは嫉妬と妬み。今や不名誉も加わった。だから未研究分野の一匹狼になったの。ひとりぼっちだった。弟は大バカだったかもしれないけど、風変わりで魅力的な男だった。世の中の仕組みについていけなかっただけ」魅力的だけど世間についていけない、もしくは世間がビビってついてこさせなかったのは、お姉さん、あなたでしょう▼主演がミシェル・ロドリゲスであることは承知の上で、シガニーに紙幅を割くのは、演技といい風格といいダントツだからだ。ロドリゲスは意識を取り戻したら手術台の上で包帯にぐるぐる巻きにされていた。包帯をヒンめくると「ギャッ」女になっている、と驚倒するのだが、なんだ、つけひげをとっただけじゃない。もともと彼女の「男の殺し屋」は吹き出しそうだった。頬はふっくらとして目つきは丸く凄みがなさすぎた。それに、なぜこんな脚本になったのかわからないが、シガニーのセリフの量と桁ちがいに少ないのである。滔々と所信表明する天才外科医の存在感に、これでは太刀打ちできません。それともロドリゲスはセリフを覚えるのが苦手なのか。