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特集「最高の悪役」

2018年6月18日

特集「最高の悪役2」③
スプリット(2017年 サイコホラー映画)

監督 M・ナイト・シャラマン

出演 ジェームズ・マカヴォイ/アニャ・テイラー=ジョイ

シネマ365日 No.2514

24人目は“ビースト”

監督ナイト・シャラマンにしては、最高とはとても言い難いけど、デニス他多重人格の主人公を演じたジェームズ・マカヴォイの健闘が素晴らしい。彼は「アトミック・ブロンド」でも、ヒロインを苦しめる悪役を憎さげに演じています。DID(解離性同一性障害者)は思考で体の化学反応も変わる。23人の人格が交互に入れ替わったデニスは24人目のビーストを待っていた。ビーストとはだれ? それが映画の進行とともに姿を現わすのですが、マカヴォイの七変化をたいへんね〜と思っただけで、意外性とか衝撃性は薄かった。ナイト・シャラマンは「シックス・センス」が頂点だったのだろうか。ジャケ写にある「衝撃のラスト」みたいな、使い古された決まり文句など、少なくともシャラマンには使って欲しくないのだけど、面白かったのはここそれはね、こっちの話の方が面白いと思うのだけど、ラストでヒョコっとブルース・ウィルスが顔を出すのよ。バーの女性客が「ほら、あれ、なんて言ったかしら。この事件は15年前の車椅子の男の事件と似ているね。犯人は変な名前で呼ばれていたわね」という。彼女の隣に座っていたブルースがボソッと「ミスター・グラスだよ」。これ「アンブレイカブル」のサミュエル・L・ジャクソンでしょう。列車の大事故を企んで大勢を死なせ、かすり傷一つ負わない男を探しだした、それがブルース・ウィルスで、犯人のサミュエルは精神病院に入ったという。つまり本作は三部作の「真ん中」になるってことよ。中間部だからこんな子供だましの七変化で終わったとしよう。そして次なる最終章でシャラマンの失地回復を期待することにするわ3人の女子高生ケイシー。クレア、マルシアが誘拐され、気がついたら殺風景な密室に監禁されていた。ケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)は母親を早く亡くし、父親と叔父に育てられ、叔父に幼児から性的虐待を受ける。父親が死んだ後はその叔父が後見人となって同居している。たまったものではないが、このあたりは三部作に引き継がれるのだろう。見知らぬ男が現れ「お前たちを連れてきたのは聖なる食料にするため」だという。彼はレイプや危害を加えそうもなかったが、間もなく女装し、女の声でしゃべり、と思うと9歳の男の子になり、彼には子供のころ母親から受けた虐待がトラウマになっているとわかる。虐待、性的暴行、誘拐、監禁は多重人格もののキーワードですデニスが彼の中に何人もいる人格のリーダーだ。デニスが「照明を当てる」ことによってパトリシアやヘドウィクが現れる。デニスの精神科医フレッチャー医師によると「彼らの集中力と人格の多様性は驚きの一言。DID患者は苦悩を通じ脳の潜在能力を解放するのかもしれない。これが未知と呼ぶものへ至る未知ではないか。いわゆる超能力は彼らに由来するのでは」とスカイプによる討論で意見を述べる。ビーストは向上心のない不純な若者を食べる、とデニスはフレッチャー医師に説明する。フレッチャー医師はデニスの人格がただならぬ領域に入ったことを覚え、心配になって会いに行くが、ビーストと化した彼に殺される。女子高生は入り口も出口もわからない迷路のような地下室で追い回され、二人は殺され、ケイシーは追い詰められた。ショットガンは撃ち尽くした。弾丸は当たったのにビーストは倒れない。肉体まで変化し、彼の筋肉は盛り上がり、スパイダーマンのように壁を這って登り、鉄棒をヒン曲げる。でもケイシーをじっと見つめ「お前の心は汚れていない。喜ぶがいい」そういって姿を消すパトカーが到着しケイシーは救出された。監禁されていた地下は動物園の管理棟だった。え、動物園? という平和的日常性が、この映画に気抜けした一因だった。ケイシーは病院で手当てを受け、保護者に迎えに来てもらう、あなたのおじさんが来ていると告げられ凍りつく。デニスは医師と高校生二人を殺して逃走した。ここから先は三作目になるのね。しり切れとんぼで締まらなかったけど、マカヴォイの野獣ぶり、筋肉モリモリの変貌ぶりに一票。