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特集「感じのいい女優」

2018年6月23日

特集「感じのいい女優」ナオミ・ワッツ8日間①
ザ・リング(2002年 ホラー映画)

監督 ゴア・ヴァービンスキー

出演 ナオミ・ワッツ/マーティン・ヘンダーソン

シネマ365日 No.2519

さびしい少女

特集「感じのいい女優」ナオミ・ワッツ8日間

「感じのいい女優」なんて、かくもあっさり印象批評から入るのは、芸のないことおびただしいと自分でも思います。だから本シリーズは映画評などというものではなく、もっとベタの感想文です。ナオミ・ワッツという人、線が細いけれど真面目で努力家で、嘘がいえない女性のような気がする。傲慢かつ気宇壮大でないと成功できないハリウッドでよくここまで来た、といいたいくらい健気である。キャサリン・ヘプバーンが80歳にして越し方を振り返り、女優がいい演技をするのは、自分の気質にあった役を選ぶのに限る、と力強く自伝で断言しています。ナオミ・ワッツの気質にあった映画に「インポッシブル」があります。彼女は二度目のオスカーのノミネートを果たしました。スマトラ沖地震に遭遇し、自身重傷を負い家族と離れ離れ、やっと病院で母親を見つけた息子に救援を手伝えという。「何をしたらいい?」と訊く息子に「役に立つことを何でも」と答える女医の役でした▼ナオミ・ワッツは「ザ・リング」のキャンペーンで来日しました。成功をどう思うか、意外ではなかったかという、やや意地の悪い質問に動ぜず「私には10年の下積みがある」と答えていました。棚ボタではない、来るべくしてやってきた成功だというわけね。本作はジャパニーズ・ホラーを世界的にした佳品ですから今さら粗筋もないのですが、ラストで「なぜ私だけが生き残ったのか」とヒロインのレイチェルが自問自答する。彼女が思い当たった答えが本当の意味のホラーでした。彼女だけがビデオをコピーしていたからだ。変死者が続出する怪奇な事件が恐ろしいのでもない、謎めいた岸壁の灯台でもなく、崖から身を投げた長い黒髪の女性でもなく、牧場の馬の錯乱でもなければ、少女を拘禁し気が狂って自殺する養父でもない、自分のビデオを一人でもたくさんの人間に見せるための「コピー係」が必要だった、死んだ彼女は「眠らない少女」で、つまり安らかに成仏することはなく、ビデオを見る人がいる限り、呪いのウィルスを撒き散らし、自ら命を絶たせる、その連鎖が途切れない、コピーした人は自分の目的達成の協力者というわけで殺すのは免除してやる…まあえげつない怨念ね。レイチェルが井戸の底に沈んでいた少女の遺体を引き上げ「もう大丈夫よ」とやさしく語りかけ、埋葬されて、あなた、納得したのではなかったンかいな!▼少女の名はサマラ。彼女もかわいそうな身の上です。養女にもらわれてきたが「あの子は間違いだった」と養父は彼女を精神病院に収容したのだ。サマラは母親に井戸に投げ込まれて死ぬ。母親も自殺する。一連の事実がわかったレイチェルが「サマラは寂しかったのよ。関心を引くために子供は泣いたり、絵を描いたりする」。で、サマラはビデオを見てもらうことで関心を引いて欲しかった、だったら寂しさが昇華されたら気がすむだろ…ところがまだまだ引き続き関心を持って欲しい、だからもっと、もっとビデオを見させる必要がある、そこでコピー担当が必要だ、なんてひどいよな。したがって「リング2」で顛末が語られるのね。見るわ。ナオミ・ワッツ続投だし。