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特集「新宿2丁目を連れて歩きたいボーイフレンド」

2018年7月13日

特集「新宿2丁目を連れて歩きたいBF4」⑤
マイルズ・テラー
ビニー/信じる男(2017年 事実に基づく映画)

監督 ベン・ヤンガー 

出演 マイルズ・テラー/アーロン・エッカート 

シネマ365日 No.2539

すべては単純なのだ

新宿2丁目を連れて歩きたいBF4

マイルズ・テラーは「セッション」でドラム猛練習の「しごかれ役」をやりましたが、本作も負けていません。主人公ビニーはWBC世界スーパーライト級タイトルマッチでチャンピオンに輝くも、車の事故で首の骨を折る重傷。再起不能である。一生寝たきりかもしれない。ボクシングどころか。トレーナーも父親も引退を勧める。ビニーは首を固定するハロー装着装置を付け、見るからに痛ましい。女たちはさっさと去ってしまった。ビニーのトレーナー、ケビンは言う。「マネージャーが引退宣言をした。もう客は呼べないってことだ。俺のところへ寄越したってことは、お前は捨てられたのだよ」。ビニーは一人で、家の地下室でトレーニングを始める。朝の3時半。地下に降りていくとケビンが寝ていた。ベンチプレスのトレーニングじゃ、ただのマッチョだ、俺が見てやらないとお前は死んでしまう…そして二人三脚が始まった▼半年後、頭蓋骨に穴を開けてボルトで固定した装置を外した。ビニーが復帰するとケビンはマスコミを呼んでブチ上げた。ビニーを見限ったはずのマネージャーは「これは金になるぞ」。ボクシングの世界も裏では赤裸々な銭勘定が動く。鉄の意志でトレーニングするビニーに、しかし誰もスパーリングの相手をしたがらない。病院送りにするのは嫌だからだ。「ベッドで何をするか考えた。ジムで子供に教える、バーテンダーになる、昔の自慢話をする、でも決めた。ボクシングをしなきゃ一生後悔する」。対戦相手が決まった。客を呼べると踏んだマネージャーは復帰第一戦にタイトルマッチを組んだのだ。IBC世界スーパーミドル級チャンピオンのロベルト・デュランだった。ビニーは第一ラウンドであっさりダウンする。彼の折れた首が12ラウンド持つかどうか、ビニーはダウンを食らいながらもしぶとく粘った。コーナーに戻ったビニーにケビンが叫ぶ。「真価を見せろ」。ビニーにスピードが戻った。「デュランを捕まえたぞ。いけ」ケビンが絶叫する。10ラウンド、11ラウンド、チャンピオンからダウンを奪い、最後の12ラウンド。「あと3分だ」死ぬ気で行け。壮絶な打ち合いとなった両者、立っているのがやっとの状態で試合終了のゴング。僅差の僅差で判定はビニーに上がった試合後のインタビューでビーは答えている。「ボクシングの世界は華やかに見えて現実は嘘で溢れている。誰も信用できない」「いちばん大きな嘘は?」「そう単純じゃない、だ。この嘘を何度も聞いた。単純じゃないと。何もかもがその言葉で片付けられた」「そう単純じゃない? 真実は?」「単純さ。何を言われても結果がすべてさ。勝てばいいんだ。単純なんだ」すべてのことは単純なのだ。リングに上がれば拳ひとつで戦う。勝つか、負けるか。強い方が勝つ。どんなに状況が複雑であっても、いや、複雑に見えれば見えるだけ本質は単純なのだ。自分の行く手をふさぐものが倒木であるなら、それをのければよいだけなのだ▼ビニーのこの言葉は複雑に迎合しがちな、まやかしの構造や人間関係から目を覚まさせてくれる。すべてのことは単純なのだ。