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特集「偏愛力」

2018年7月17日

特集「偏愛力4」②
人体解剖マニュアル(下)(2005年 ドキュメンタリー映画)

講義 グンター・フォン・ハーゲンス博士/ジョン・A・リー教授

シネマ365日 No.2543

人間が魚だった時の記憶 

偏愛力

「消化」と「生殖」の解剖のレッスンです。まず消化。消化管は長く複雑に絡み合い、舌から肛門まで7メートルにも及び、口から摂取した食物を栄養に変換する役目を担います。消化は口内で唾液腺から唾液が作られることから始まる。ここでグンター・フォン・ハーゲンス博士は唾液腺を露出させます。素人が見てもどこが腺なのかわからない。消化とは想像以上に複雑で精巧な機能です。舌で混ぜられ、咽頭へ取り込まれた食物は脳が支配する領域を離れ、腸の優れた機能へ委ねられる。食道は心臓と肺の裏側にある複雑な器官で、食べ物を胃までなめらかに移動させる。博士が言うには「平静時の腹筋の張りは病気のサインだ。腹部とは感染や炎症が原因で、緊張する反射作用があるからだ」。腹部は腹直筋、腹斜筋、腹横筋で保護されている。食道、肝臓、胃、小腸、大腸で約15キロ。胃は伸縮性に富む大きな袋で、食べ物を殺菌するための、高濃度の塩酸である胃酸を分泌する▼小腸で食べ物は栄養素に分解され、血流へ吸収される。腸には1〜2キロものバクテリアが生息する。胎児の頃体内に侵入したもので、腸内の環境を整え、ビタミンを生成する善玉菌だ。肝臓は代謝の中心的役割を持ち、動脈、静脈、門脈、胆管が乗り入れる。胆石は胆汁を一時的に貯める。胆嚢にできる石が胆管を詰まらせるとすい臓自体が消化される。これが急性膵炎で、非常に危険な状態だ。腎臓は食事で過剰摂取した水分や塩分、水溶性物質が腎臓から排出するときは、不純物を取り除かれ、尿として排出される。文字で書くと感動しないかもしれないが、目の前で肝臓のスライスや、細い管で繋がる腎臓や、背骨の後ろに慎ましく横たわる膵臓などを見せられると、これらすべての臓器が、人体という生命体として健全に機能することは、神の領域であるような畏敬に打たれる▼3億の精子が一つの卵にたどり着き受精する。卵子は卵管を通って子宮にいく。受精すると胎児を作り始める。稀に卵管で受精するのが子宮外妊娠で、卵管が破裂子、出血する。妊娠6〜8週目の腹痛それも激痛は非常に危険だ。胎児の卵巣に、卵子は約1000万個あるが、誕生時には100万個、思春期には4万個ほどに減る。しかもその4万個のうち排卵されるのはたった400個、胎児の卵巣で作られたうちの2万5000分の1しか妊娠のチャンスがない。大昔の魚から進化してきたことが理由だという説がある。魚は無数に産卵することが多い。人の胎児や少女の卵巣に卵子が多いのは、魚の頃の記憶のせいかもしれない。何万もの精子が卵管に降りてきて卵子と出会うことで卵子と精子の旅は終わる。受精卵は卵管を戻り、子宮に着床して発達し始める。解剖台の上でさらけ出された女性の腹部には、生命の神秘とか、人体の脅威とかいう言葉のかけらもないですね。体とは器官であり、機能である。そこに生命というエンジンを稼働させるのは誰なのだろう。もしこの宇宙に神の手があるとしたら、私たちは全て神の手が触れることによってこの世に送り出されてきたのだ。魚だった頃の記憶をとどめて。