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特集「夏こそベストコレクション」

2018年7月30日

特集「夏こそベストコレクション」⑦
ルージュの手紙(中)(2017年 家族映画)

監督 マルタン・プロボ

出演 カトリーヌ・ドヌーブ/カトリーヌ・フロ

シネマ365日 No.2556

放っておけないの

夏こそベストコレクション

手術まで「10日もある。頭に穴を開け、血を採るのよ。今晩泊まりに来て、怖いから」クレール無表情。でもその日が夜勤にもかかわらず付き添いに行ってやる。夕食のレストランで「子牛の頭がある。それとも二人でステーキを分ける?」「赤身の肉はやめたほうがいいわ」「私の勝手でしょ。味のない野菜料理は死んでもイヤよ。真剣な話があるの。私の埋葬について」「死なないわよ!」「エレガントで軽い、トウモロコシで作った棺桶があるわ。ケチる気はないけどお金はかけない。あなたにお金を残したいのよ」「30年も放っておいて勝手なこと言わないで。お金は要らない。恩は受けない。棺桶を心配する前にポテトフライやめたら?」「父親とそっくりね。なぜいつも怒っているの。発作が来て道端で倒れてもいいの? 誰だって過ちを犯すわ」「なぜ目の前に現れたの。平和に暮らしていたのに」(吹き出した)「あなたの父親は私がたった一人愛した人よ」「へ?」「一夜だけの男もいるし、一緒に暮らしたけど記憶に残らない男もいるけど」「父を見捨てたわ」「彼は田舎で暮らそうとした。私はイヤだった。それが罪?」「父はいい人だった」「そうよ。でも野心のないつまらない男だった、あなたと同じ」ぐわ〜ん▼クレールは隣の菜園の男と仲良くなる。母親とは思えない、仲の悪い女を「放っておけないの」と打ち明ける。手術に付き添い、意識が戻るまでそばにいてやる。ベアトリスは目を開け「いたのね。二度と会えないかと思った。何が欲しいかわかる? 卵料理よ」。医師は容態が楽観できないと告げる。ベアトリスはさっさと退院する。「死んだら袋に詰めてセーヌ川に流して」「法律で禁止されているわ。息子は川で泳いでいるのよ」「スレちがうかもね。ちょっと止めて」。ドヌーブは古いアパートの階下の部屋をさし、「あそこの一間で父と母と一緒に暮らしたの」「ハンガリー王家の王女出身ではなかったの?」「私の作り話よ。あなたの父はそれが気にいって結婚したの。お人好しね」またしてもぐわ〜ん▼「ちょっと止めて」とまたいう。「駐車違反になるわ」「違反くらい、いいじゃないの。止めてよ」しぶしぶ。「5分で戻る」「一人で危ないわよ」「じゃ、ローランドを訪ねて代理で来たと言って」バッグをかき回し「ヘンね。病院に忘れたのだわ。5000ユーロ、小切手切ってよ」「二ヶ月分の給料よ。そんな大金、銀行にないわ」「私はどん底なのに拒絶するのね。来週返すわよ」「そう言って何度も父を騙したわ。あなたのおかげで父は貧困生活だった」「実の母親が吹き込んだのね。彼が引退したときはすでに文無しだった。私が稼いでいた。私は欠点だらけだけど、卑怯でケチな女じゃないわ」「…まったく」クレール、プリプリしながら小切手を切る。訪ねたローランドが、誰あろう、ミレーユ・ドモンジョだ。楽しい映画だわ。アラン・ドロンと共演した「黙って抱いて」から49年、「あるいは裏切りという名の犬」の娼婦から13年。82歳。フロはむろん、ドヌーブさえ可愛らしく見える怪女優です。