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特集「ベストコレクション」

2018年8月10日

特集「恋歌が聞こえる風の盆/8月のベストコレクション」⑩
レッド・スパロー(2018年 サスペンス映画)

監督 フランシス・ローレンス

出演 ジェニファー・ローレンス/ジョエル・エガートン/シャーロット・ランプリング/ジェレミー・アイアンズ

シネマ365日 No.2567

祖国のため母のため 

8月のベストコレクション

 続編ありきで作られているせいか、いまいちまとまりがよくないのよね。見どころはいくつかあります。スパイ養成学校のプログラムでは校長に当たる監察官(シャーロットランプリング)が教える鉄則「人間の欲望はパズル、欠けたピースを見抜き埋めれば相手を操れる」。スパローと呼ばれる彼らは(特に女子は)ハニートラップでして、性技の奥義に長けねばならない。講義は理屈抜き。教室で素っ裸になった男性を示し「彼を満たしてあげて」と校長先生。すごいな。ヒロイン、ドミニカ(ジェニファー・ジョーンズ)は頭のよさと度胸のよさで頭角を表す。彼女が否応なしにスパイにさせられたのは、バレリーナ二人を殴り殺したからだ▼プリマだったドミニカは嫉妬を買い、公演の最中、パートナーに脚を折られ二度と踊れなくなる。事故ではなく仕組まれたものだったと知ったドミニカは、怒り心頭に発し楽屋でセックス中の二人を撲殺した。ボリショイの団員でなくなったドミニカは要介護の母親を抱えている。叔父ワーニャがスパイになって国家に貢献すれば衣食住を保証しようと持ちかけたのだ。この叔父さん、ドミニカが子供の頃からその気があり、ために母親は叔父を近づかせなかった。叔父はロシア情報局副長官だ。ドミニカに任務を与える。ロシア情報局の上層部にいるアメリカの内通者「もぐら」が誰か探り出すこと。その「もぐら」と接触しているのがアメリカCIAの調査官ネイト(ジョエル・エガートン)だ。情報を盗む、盗む奴を殺す、ロシアにアメリカ、入り乱れてストーリーは展開し、その途上で関係者は抹殺されていく。ネイトとドミニカはいつしか心を通わせる…と言うのも、ドミニカにすると同じスパイ活動でも、ロシアに比べアメリカのそれは随分開放的に思えるのだ。早く足を洗い母親をアメリカに亡命させたい。仕事をこなす目的は「祖国のためと母親のため」なのだから、ジェニファー・ローレンスの役にはどこまでも家族のしがらみがついて回ります▼バラしちゃうと、「もぐら」は組織のトップ、コルチノイ将軍で、妻がアメリカで手術を受ければ助かるのに国は許可しなかった、そこでアメリカに情報を流すことにした、「君は私の正体を暴いて私の後任者になるか、アメリカに亡命するか」。血なまぐさい死闘を繰り返してきた割にはあっさり真相を告白されるので戸惑う。ドミニカは上層部に「もぐら」の名前を報告する。逮捕され、ロシア側のヘリから降ろされた「もぐら」は将軍ではなくワーニャ叔父だった。これは自分をスパイにした叔父の企みへの復讐です。この叔父さんも殺しの指示ばかり出してきた人生だから、まあ仕方ないか。ドミニカは叔父の地位を引き継ぎ祖国の英雄として母親と平穏な生活に入る。そこへ電話。「もしもし」電話の向こうでドミニカが初めてソロで踊ったグリーグの曲が鳴っている。ネイトだった…ここでエンド▼ヒロインのアクションで売った「アトミック・ブロンド」と違い、心理戦、撹乱戦が主になっています。それはそれで見応えがあったけど、全編をおおう陰々滅々のムードにへこたれそう。ドミニカが将軍の意を飲んで要職に就いたということは、彼に代わって、もしくは彼と組んでアメリカに情報を流すってことね。どこまでアメリカに都合よくできているのよ。劇中一度くらいヒロインににっこりさせたらどうなの。陰気くさくて仕方ないわ。ジェニファー・ローレンスは特訓してバレエのシーンに臨んだそうです。どこまでどうかわからないけど、下半身がこんな肉付きのいいバレリーナっていてもいいのね。アリシア・ヴィキャンデルの「トゥームレイダー/ファーストミッション」やガル・ガドットの「ワンダーウーマン」続編も待機している。シャーリーズ・セロンも何やら考えているらしい。アクション女優戦国時代に、あまり首を突っ込まないほうがいいわ。日本では未公開になったけど、ダーレン・アロノフスキー監督のあのややこしい「マザー!」なんてヒロインを演じられるのだから、ジェニファー・ローレンスは自分の持ち味をもっと極めるべきだと思える。