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特集「ベストコレクション」

2018年8月14日

特集「恋歌が聞こえる風の盆/8月のベストコレクション」⑭
ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命(上)(2017年 事実に基づく映画)

監督 ニキ・カーロ

出演 ジェシカ・テャスティン/ダニエル・ブリュール

シネマ365日 No.2571

おいで、アダム 

特集「恋歌が聞こえる風の盆/8月のベストコレクション」

 原作がダイアン・アッカーマン、監督がニキ・カーロ、脚本がアンジェラ・ワークマン、製作にキム・ズビックが入り、主演がジェシカ・テャスティン、見事に女性チームですね。第二次世界大戦末期、ユダヤ人を動物園に匿い、300人を救ったジャビンスキー夫妻の実話です。原題は「ズーキーパーの妻」。動物園の開場時刻。アントニーナ(ジェシカ・テャスティン)は明るい挨拶で入場者を迎え、いつも通り「おいでアダム、巡回よ」子供のラクダが走ってきて自転車で並走する。ライオン、トラ、ヒョウ、岩山に白クマ。「おはようカーシャ」。カーシャとテンボはアフリカ象だ。「あなたは美しいわ」。アントニーナはテンボの長い鼻をなで頬をスリスリ、カバの口にリンゴを放り込む。1939年夏、ポーランドのワルシャワ動物園。平和の楽園のような世界が暗転した▼パーティで格別溶け込もうとしないアントニーナは浮いている。ベルリン動物園のヘック(ダニエル・ブリュール)はアントニーナが好きだ。アントニーナを「野良猫みたいな女」だと悪口を言う女性に「猫は何よりも感覚が鋭い。どんな人間より頭がきれる」言外に(あなたよりも)と仄めかす。ヒトラーがポーランドを狙っているという不穏な情報が交わされる。息子リシュがカーシャのお産を知らせに走ってきた。アントニーナは動物園へ飛び出す。子象の鼻が巻きつき窒息しかけていた。興奮する親象の足元にしゃがみ「助けようとしているのよ」必死に話しかけ、子象の鼻を伸ばしさする。息を吹き返す。「よく頑張ったわね、赤ちゃんは無事よ」。パーティの会場から追いかけてきた夫ヤンたちは、血だらけのアントニーナに「君は楽園のイヴだよ」。ヒトラーとスターリンが不可侵条約を結んだ。街路ではユダヤ人が「荷役動物みたいに扱われていた」と悲しむアントニーナに「息子を連れてワルシャワを出ろ」と夫は指示する。「動物園があの子の家よ。人は不安だと逃げることしか考えない。ここに居させて」▼一家はとどまるものの爆音で動物たちは騒然、檻を破って逃走する。銃殺隊がトラに、ゾウに銃口を向ける。「撃たないで」アントニーナの懇請も聞かれるはずがない。動物園は荒廃した。ヘックが来ていう。「希少動物だけでもうち(ベルリン動物園)預かろう。戦争が終わったら返す。動物たちの安全を保証する」夫は反対する。「ヘックはヒトラーの直属の部下だぞ」それ以外に、妻を見るヘックの熱っぽい視線が気に入らないのだ。アントニーナは動物を助けたかった。ヘックの提案を受け入れた。1940年10月ユダヤ人がゲットーに送られるようになる。ユダヤ人の友人が昆虫の標本を預かってくれ「生涯を賭けた研究なんだ」「地下に置く。湿気もなく牢獄のようで誰も気づかない」。聞いたアントニーナがつぶやく。「マグダをかくまってあげられる」マグマは親友のユダヤ人女性だ。「標本と人間は違う」夫はためらうがアントニーナは迷わなかった。すべてのユダヤ人が塀の向こう(ゲットー)に連れて行かれようとしていた。夫と妻は「彼らの隠れ家が見つかるまでユダヤ人を匿う。何があろうと隠し通す」決意を固めた。