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特集「ベストコレクション」

2015年11月15日

特集「星の降る夜は/ベストコレクション」①
博士と彼女のセオリー(2015年 伝記映画)

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監督 ジェームズ・マーシュ

出演 エディ・レッドメイン/フェリシティ・ジョーンズ/エミリー・ワトソン

シネマ365日 No.1569

博士の妻 

特集「星の降る夜は/ベストコレクション」

ホーキング博士(エディ・レッドメイン)と離婚した妻ジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)が、再婚した聖歌隊の指揮者ジョナサンと幸福な結婚生活を送り、自らの学業もまっとうして博士号を取った、とラストにあったので救われたわ。そら、ホーキング博士はえらいわよ。治療法のない難病に罹り、衰え続ける肉体で、宇宙物理学における偉業をなしとげたのだから。彼は21歳のとき発病し、2年といわれた寿命で現在(2015)73歳。52年間生存中なのよ。すばらしい人だわ。普通の意思力と頭脳ではないわ。それはいいけど、結婚以来26年間、博士とのあいだに3人の子をなし、夫の介護に献身したジェーンが、ボロ雑巾みたいな人生に終わったのでは、神も仏もあったものじゃないわよ▼でもねー。ジェーンの肝っ玉には驚くわね。劇中医師はこう説明する。ホーキング博士(当時はもちろん学生)の病気は運動ニューロン疾患で、脳からの命令が筋肉に伝わらない。話すこと、歩くこと、呼吸や飲み込むこと、全身の筋肉が衰え、やがては随意運動を制御する能力が失われる。余命は2年。治療法はありません」「脳は?」「脳は影響を受けません。思考力も。ですが誰にも 伝えることができません」ここまで言っちゃうのね。自殺してもおかしくないでしょう。ジェーンの決心に実家のパパは「よく考えなさい。現実は君の味方ではない。闘いにさえならない。耐え難い敗北に立ち向かうだけだ」おっしゃる通り、でもジェーンは結婚し、子供が生まれた。博士がいうには「アッチのほうは仕組みがちがうのだよ」。そのせいかどうか、3人目も生まれた。博士の肉体はますます看護を要するようになる。介護に子育て。着々と名声を得ている夫のかたわらで、自らは学業を放棄。肉体的な疲労とコンプレックスでジェーンはおしつぶされそうになる。母親を演じるのがエイミー・アダムスだ。彼女は教会の聖歌隊に入ることを娘に薦め、週に1回ジェーンは歌を歌う。ここで出会ったのがジョナサンだった。ジェーンをみかねたのは実家の母親だけではない。博士の父親は「介護士をみつけないとだめだ」博士は「雇う余裕はない」「お前は有名人だ、何とかしろ、大至急対処しろ!」▼ジョナサンが介護士として家庭に入る。博士の信頼も得た。博士はジョナサンと妻の関係を黙認していたフシがある。離婚のあと博士は看護師のエレインと再婚する。博士はすでにケンブリッジ大学の、数学分野の最高職、ルーカス教授職に就き「車椅子」の教授が著した「ホーキング、宇宙を語る」は、世界1000万部のベストセラーになっていた。彼はきっともてたであろう。だいたい、博士は運と生命力が強いのである。でなければ余命2年の難病の進行が止まり、不自由ではあるが研究は続けられ、しかも支援する環境、特に女性を含めたそれは常に整っていた。CBE(大英帝国勲章)をはじめとする博士の数々の栄誉は数えきれない。ケンブリッジで博士の指導にあたった教授陣、友人たちの祝福は「彼を見守るのは最大の喜びであり、彼は科学と個人生活における困難を乗り越えた」と美しく、友情に満ちていた。それに応えた博士のコメントにこうある。「人間の努力に境界はありません。我々はみな異なっています。いかに不運な人でもなにかやれることはあります。成功できるのです。命ある限り希望があります」すべての人に勇気を与える最高のメッセージであろう▼女王陛下からの名誉勲位を授与された博士は、バッキンガム宮殿の庭でジェーンに言う。「今日はありがとう」彼らの視線の向こうには成長した3人の子供、ふたりの息子とひとりの娘がいる。ぼくたちがふたりでつくったものだ、ということを博士がいう。確かにそうにちがいないが、このセリフ、ちょっと都合よすぎない? つくったあとを引き受けたのは、もっぱら妻ばかりではないか。ラストでジェーンが報われたことがわかって、ほんとうによかったわ。そこで博士、あなたは人類を助け、未来の宇宙物理学を切り開く大仕事に、ますます邁進なすってください。「命あるかぎり希望がある」ことを、身をもって示したあなたに、感動しました。

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