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特集「ベストコレクション」

2015年11月20日

特集「星の降る夜は/ベストコレクション」⑥
ママはレスリング・クイーン(2014年 家族映画)

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監督 ジャン=マルク・ルドニツキ

出演 マルリー・ベリ/ナタリー・バイ/オドレイ・フルーロ/コリンヌ・マロシエ

 

シネマ365日 No.1572

惚れる女たち

特集「星の降る夜は/ベストコレクション」

本作が長編第一作の新人監督がナタリー・バイをひっぱりだすかア(笑)。彼ジャン=マルク・ルドニツキの本気度に応えた女優陣の奮戦をまず讃えよう。粗筋はベタもいいところだけど、たまにはこんな映画で「オシッ。いいぞッ。きみたち、よく頑張った!」って思い切りスッキリするのもいいものよ。刑務所の刑期を終え、スーパーのレジ係に就職したシングルマザーのローズ(マルリー・ベリ)、同じ職場の責任者・主婦のコレット(ナタリー・バイ)、男アディクトのジェシカ(オドレイ・フルーロ)、スーパーの精肉コーナーを担当し、いつも血だらけのエプロンをつけているために、なぜか嫌われ者のヴィヴィアン(コリンヌ・マシエロ)。ローズは出所して息子に会いに行くが彼は母親に心を閉ざす。ひどい母親だったから仕方ないと、ローズは自分を責める。この息子、じつに可愛げなく描かれるのがミソだ▼息子がプロレスのファンだとわかったローズは「ママが試合に出るから見てね」。ひねくれたガキは「どうせぼくの気を引こうとしているだけだろ」でもママは伝説のレスラー、リシャール(アンドレ・デュソリエ)を訪ねる。彼は鼻であしらい「タッグを組む相手はいるか、いないだろ。タッグを組まないと試合ができないのだぞ、知っていたか、あん?」ローズはめげず職場でリクルートを開始。彼女の説得に、どうせ今のままじゃなんの期待もない人生、いっちょ、やってみるか…こうして五十路のコレット、男狂いのジェシカ、嫌われ者のヴィヴィアン4人がチームとなった。ヒロインたちはみな三十路以上。若くはないどころか、人生にドロップアウト寸前の女たちだ。コレットは夫の浮気にうんざりしていた、ジェシカは自分がバカにされやすいことを知っていた、ヴィヴィアンは自分の容貌が醜いと信じ、爪弾きされることでひねくれていた▼彼女らのコーチに、リシャールはかつての自分の配下にいた女子プロたちを呼んだ。「プロレスはエンタテイメントだ。自分が怪我せず、相手にも怪我させず、観客を喜ばせるコツを学べ」。現れた先輩たちを「老人ホームじゃない」と小馬鹿にしていたローズたちは、彼女らの熟練の技とショウマンシップに背骨バキバキ、叩きのめされる。プロレスには善玉と悪玉の役割分担がある。リシャールは善玉をローズとコレット、悪玉をジェシカとヴィヴィアンに決めた。ところがヴィヴィアンは自分こそ善玉のキャラだと主張、仲間の嘲笑を買い、降りてしまってチームは解散…という、ちょっとした薬味があり「女の内輪もめを持ち込んだら二度と許さん」リシャールの「喝!」で特訓再開。対戦相手はなんと、ルチャ・リブレ(メキシコ流プロレス)のナンバー1チーム「ディーバ」。メキシコで女子プロは人気俳優にまさるとも劣らぬ存在だ。そこのピカイチが相手とは。特訓につぐ特訓である。「入場から度胆を抜け。よし、ジェシカは合格。ヴィヴィアン、だめだ、迫力がない!」。ショボンとしているヴィヴィアンに少女が声をかけた。「あなたのファンなの」「わたし、悪役なの。みんなに嫌われるのよ」「じゃ、ダース・ベンダーは? フレディは? ターミネーターは?」「詳しいのね」「大きくなったら、わたし、あなたのような悪役になるの」ヴィヴィアンはよみがえるのだ! こういうところがたまりませんな(笑)▼試合当日。ジェシカの「カラミティ…ジェシカ」は二丁拳銃を撃ちまくる、カーボーイスタイルで入場、ヴィヴィアンはド派手もこれまでというメイクで圧倒。ン? コレットはどこにいる? 見ろ、あそこだ、うわ〜。なんと、なんと、市川猿之助フレンチ女子版、コレットが「ワンダー・ウーマン」コスチュームで宙乗りの滑走でリングに着陸したのだ。場内騒然、それにしてもローズは何をしている? これがねえ、こういうエピソードをいれないと女子闘魂はなりたたんと思っているなら、考えなおせよ、監督。息子がママに歩み寄らず、ママは絶望し試合を放棄、逃亡する。なんたる無責任。リシャールが探しだしローズを車に押し込むと、そこにはすまなさそうな息子が待っている…映画の中心はもはやリングに移っているときに、ここのシーンが冗長でした。ラストは、ローズが出場するけど、メキシコチーム最強の110キロレスラーに押しつぶされ敗戦。勝たしてやれよ、と思うより肝心なところで試合をスポイルしたローズに本気で腹が立った。でも映画はやさしいのだ。しがないスーパーの年増レジ係たちが、世界ナンバー1相手に善戦した、なんたる快挙…伝説の老トレーナーは「ミリオン・ダラー・ベイビー」のオマージュか。「最強のふたり」でゲイの看護師をやったオドレイ・フルーロが、恋を実らせるジェシカを好演、ヴィヴィアンの悪役は少女でなくとも惚れるぞ。

 

 

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