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特集「ベストコレクション」

2015年11月21日

特集「星の降る夜は/ベストコレクション」⑦
赤と黒の誘惑(2015年 恋愛映画)

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監督 スティーヴン・ランス

出演 エマニエル・ベアール

シネマ365日 No.1573

赤と黒の女王さま 

特集「星の降る夜は/ベストコレクション」

エマニエル・ベアールの最新作。日本未公開。2015年DVD発売。ベアールがSMの女王になるのだ。「嫉妬」から4年、ちょっとふっくらしたかな。本人はあちこちで「唇の整形に失敗した」なんていいふらしたから、ついそこに目がいってしまったけど、もともとめくれあがった唇だから、大した失敗じゃないわ。それよりベアールさま、肌がデコボコになっているわ。もう少し気をつけないと。男はすぐ胸がどうとかこうとか言うけど、そこらの突貫工事でごまかせないのが肌なのよ。「嫉妬」のときはベアールとベアトリス・ダルが、フランスを代表する美魔女ぶりで怪演したのに。ダルは太りすぎていたけど、スタイリッシュなベアールはさすがだった。それが、なんです、この映画では16歳のコドモに性の手ほどきだ? 高校生のチャーリーが主人公なのだけど、彼ときたら、父親が自殺して母親が浮気、やけくそになっていたとき、隣に謎めいた美女、マギーが引っ越してきた。もちろんこれがベアールよ▼高校生にベアールの相手、させるのかよ、もったいない。それというのもチャーリーというのがイマイチ、パッとしないキャラなのです。母親が浮気したからって憎らしげに当たり散らすのね。父親が自殺したのも母親が殺したみたいに言うし。想像力が乏しいうえに騒々しいとくるのね。「年上の女と年下の男」は、さんざん描かれてきたし、「青い性」というのもあったけど、これはSMか、どんな展開になるのだろうと、期待したけど腰砕けよ。チャーリーは16歳でしょう。性の妄想にかられ、ヒマがあれば自分でやる時期じゃないですか。それがマギーを前にしんねりむっつり、ばかにおとなしい。どうでもいいこと、せっせとしゃべるのだけど、いつになっても押し倒しそうにない。おかしいわ、この子▼マギーは幼稚園くらいの息子がいる。どういういきさつでSMを始めたのかわからない。でも男たちは大金を払ってマギーの自宅の秘密の部屋にやってくる。そうそう、これオーストラリアの映画です。ベアールが招かれてオーストラリアで撮ったのですって。だから家は大きいし、部屋は広いし、部屋数もたくさんあるのね〜。羊とカンガルーの国だから、地面はがら空きなのね。日本みたいにチマチマした間取りって考えられないのよ。だから、たかだか女ひとりの住まいでも、おうおう、いいってことよ、もう3部屋つくりねえ、風呂? この5倍の広さにしてやるよ、遠慮するなって、庭? ハーフマラソンくらいできたらいいかいってところなのね。横道にそれた、SMの部屋に戻ろう。これが絵に描いたようなクラシックなしつらえ。はりつけ、手錠、鞭の3点セットはきっちりと、木馬あり、棺桶あり。ストレートの長い黒髪で現れたベアールさまは、体にぴちぴち密着した黒のレザースーツにピンヒール。手には乗馬用の鞭。ささっと鋭く男を一瞥。マルキ・ド・サド侯爵時代もこうであったのだろうか、いやまて、マダム・タッソーの拷問部屋もよく似ていた…つまり、わたしたちが想像しうるサド・マゾ系アイテムを、すべて再現したみたいに、よくできた仕様なのだ▼16歳の未成年者とプレイするなどもってのほか、出入り禁止をいいわたしたマギーなのに、チャーリーは庭師募集の求人を知ってマギー邸に就職する。なんだかんだ、お話をするうち、チャーリーはマギーの過去を知る。マギーは数学の先生で「生徒を叩いていたわ(笑)。平方根に強かったの」それが「みじめで孤独ないやな女になった」のは、「生徒の世話をするのが義務だったのに、その子がいなくなり、彼は道へ飛び出し車にひかれた」以来マギーは自分を責め、クスリに溺れ、男にそそのかされ、ここへ逃げてきた。「あなたは素晴らしい人だ、いつもいっしょにいたい」のぼせあがって手がつけられないチャーリーに、さすがにマギーは「出てって」と最後通告。でも一生の思い出に自分の体を与えるのだけど。家では息子の傲慢に腹を決めた母親が「そんなにわたしが嫌いなら、荷物を持って出て行きなさい。ここはわたしの家だから」たちまちチャーリーはおろおろ。「でも戻るなら、わたしはいつでもここにいるわ」としっかりママ。チャーリーは母親に抱きつき涙声でブツブツ。なに言ってンの? 知るかよ。ベアールは生煮えだったな。彼女のスキルが全開したらもっと悪魔的な「女王様」になれたのに。相手がハーヴェイ・カイテルだった映画(「ボディクライム 誘惑する女」)の、愚かなエゴイストの、やりきれないまでに救われない女のあわれさ、あれがベアールだった。ベアール、フランスでまともな仕事をしな。

 

 

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